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サッカー フットサル コラム 2022年10月14日

ヴィラス=ボアスが10年越しの反論「チェルシーにも非はある」

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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チェルシー入団会見で笑顔を見せるヴィラス=ボアス

チェルシー入団会見で笑顔を見せるヴィラス=ボアス

2012年3月、チェルシーはアンドレ・ヴィラス=ボアス監督を解雇した。

「上から目線が過ぎる」
「ジョン・テリーを敵にまわした」
「ミーティングがあまりにも退屈」

上層部とも太いパイプでつながれていたテリーと権力争いをしても勝ち目は薄く、当時33歳の監督をフォローする選手はほとんどいない。戦略家にありがちなまわりくどく、なおかつ専門用語を並べ立てる説明も、ロッカールームではきわめて不評だったという。

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10年前はヴィラス=ボアスの非ばかりが報じられたが、『Telegraph』(英国の高級紙)紙上で彼は反論した。

「あのころの報道には嘘が少なからず含まれている」

「ルカ・モドリッチを獲得できなかった。彼との交渉が頓挫した場合はジョアン・モウチ-ニョに切り替える予定だったけれど、それも叶わなかった」

「アルバロ・ペレイラやラダメル・ファルカオも、それからマリアナ・グラノフスカヤ(当時CEO)がご執心だったカルロス・テベスも、いつの間にか交渉は打ち切られていた」

「彼らとの交渉にわたしはいっさい関わっていなかったにもかかわらず、すべての責任を押しつけられた」

「いったいチェルシーは、何人の監督を解雇したのだ? 要するに、そういうクラブなのだよ」

ヴィラス=ボアスのコメントが事実だとすれば、11-12シーズンの失敗は上層部にも責任の一端がある。ロベルト・ディマテオ暫定監督のもとでチャンピンズリーグを制したが、プレミアリーグは優勝したマンチェスター・シティに25ポイントもの大差をつけられ、6位に沈んだ。

また、ヴィラス=ボアス解任後、ディマテオ→ラファエル・ベニテス(暫定)→ジョゼ・モウリーニョ→スティーヴ・ホランド(暫定)→フース・ヒディンク(暫定)→アントニオ・コンテ→マウリツィオ・サッリ→フランク・ランパードと、およそ七年半で監督のクビを次々と挿げかえている。ヴィラス=ボアスの発言を裏づける人事だ。

そしてことし9月7日には、新オーナーのトッド・ベーリーがトマス・トゥヘルを更迭。グレアム・ポッターを新監督に据えたものの、今度はバックルームスタッフがバタつきはじめた。

選手のコンディションをよく知るパコ・ピエスカ、ティエリ・ロランといったメディカルスタッフが退任した。広報担当ディレクターとしてクラブのイメージアップに貢献してきたスティーヴ・アトキンズは、12月から『マクラーレン・レーシング』に転出する。こうした人事を、ベーリーは独断専行で進めた。

当然、ポッターにも少なからず影響を及ぼすだろう。スウェーデン4部リーグのエステルスンズを率いていた当時から苦楽をともにしたスタッフは、ブライトンで同じ釜の飯を食い、チェルシーでも同僚だ。

しかし、オーナーのベーリーがバックルームスタッフを整備しないかぎり、この組織は不安定なままだ。そして新体制も前オーナーのロマン・アブラモヴィッチ同様、監督を軽視しているとしたら恐ろしい。

「いままでと同様に、チェルシーでも人を、人間関係を大切にし、だれに対しても正直でありたい」

就任会見でポッターは抱負を語った。新監督のスタンスは、拙速な感も拭えないベーリーの対極に位置している。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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