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サッカー フットサル コラム 2022年9月9日

悔しがる姿こそ成長の証。3試合ぶりの勝利を目指す正念場。川崎フロンターレU-18×JFAアカデミー福島U-18マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第14節】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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試合終了の瞬間。白いユニフォームを纏った選手の大半は、ピッチに崩れ落ちた。アウェイに乗り込んだ首位の川崎フロンターレU-18は、流通経済大柏高校に0-1で敗戦。今シーズンのプレミアリーグ13試合目にして、とうとう初黒星を喫することになる。

決して攻撃できなかったわけではない。いつも通りのスムーズな連携を生かしたアタックも、サイドをドリブルで突破するような崩しの形も、一定数は作っていた。だが、最後までゴールが遠い。実は無得点で90分を終わるのも、13試合目で初めてのことだった。

試合後、チームを率いる長橋康弘監督は「流経さんは想像以上に戦うチームで、そこに私たちの技術が通用しなかったということだと思います」と口にしながら、話をこう続けている。「全体的に自分たちのサッカーをやる勇気が足りないように見えました。『自信を持ってオレたちのサッカーをすれば勝てるぞ』という、その自信が少し見えなかったのかなという気はしたんですよね」。

ここまで無敗を続けてきた首位に対して、対戦も二巡目に入ればどのチームも最大限に対策を練ってくるし、「絶対に食ってやろう」という高いモチベーションで向かってくることは想像に難くない。事実として、流通経済大柏の選手たちは口々に「気合が入っていたし、初黒星を付けてやろうと思っていた」と語っていた。

だが、裏を返せばこの立ち位置は、プレミアリーグ初挑戦の彼らが今シーズンの戦いを通じて積み上げてきたものの成果でもある。長橋監督がきっぱりと言い切った言葉が印象深い。

「私も悔しいですけど、彼らの姿を見て少し安心したというか、『ああ、彼らなら必ず這い上がってくるな』というところが見られたのかなと。たとえば第1節の大宮戦で負けていたとしても、この姿は見られなかったはずです。これだけ1つの負けを悔しがれるのは、私たちのチームの価値を選手たちが頑張ってここまで築いたからだと感じているので、この彼らの姿は実は成長した姿なのかなと思います」。何ともこの指揮官らしい考え方に、選手への信頼と成長への手応えが窺えた。

信澤孝亮

JFAアカデミー福島U-18と対戦する今節は、2人の3年生“センターバック”をキーマンに挙げたい。1人は前節の流通経済大柏戦でもセンターバックでスタメン出場していた信澤孝亮だ。

ここまでリーグ戦では6試合にスタメン起用され、第4節の横浜F・マリノスユース戦ではゴールも奪っている信澤も、トップチームへの昇格が決まった高井幸大と松長根悠仁が揃って出場する試合では、ベンチに回ることが多い。ただ、ひとたび出番を得ればその2人にも劣らない、一定以上の活躍を常に披露し続けている。

本人は自身の武器として「1対1とヘディングがストロング」と語っているものの、チームとして大事にしているビルドアップにも能力を発揮。憧れの選手だという谷口彰悟にも通じる冷静なプレースタイルが、ディフェンスラインに与える落ち着きも見逃せない。高井はU-19日本代表に招集されているため、今節もスタメン出場が濃厚。代役にとどまらない信澤のパフォーマンスに期待がかかる。

浅岡飛夢

もう1人はセンターバックが本職ながら、最近はフォワードでの起用が増えている浅岡飛夢だ。シーズン序盤こそサイドバックも含めて最終ラインでプレーしていた“5番”は、夏前からコンバートに応える格好で新しいポジションにトライ。フォワードとして途中出場した第9節の横浜FCユース戦では、ストライカー感のあるヘディングでゴールを記録した。

チームのトップスコアラーでもある岡崎寅太郎の戦線離脱を受け、前節は五木田季晋と2トップを組む形でスタメンに指名された浅岡。身体の強さを生かしたポストプレーで奮闘し、自身もシュートチャンスを掴んだものの、得点は奪えずにチームもリーグ戦初黒星。試合後に悔しそうな表情を浮かべていたのが印象的だった。

長橋監督は浅岡について、「私も彼とは話をしながら、いろいろなポジションをやってもらっているんですけれども、慣れないポジションでよく頑張っていますし、もうちょっとやれば彼も絶対良くなってくると思います」と確かな評価を。明るいキャラクターも魅力的なこの男が爆発すれば、チームに今まで以上の活気がもたらされることに疑いの余地はない。

今年の川崎U-18は、間違いなく強い。だからこそ、ここからさらにチームの総和を大きくするためにも、新たなヒーローの出現が待たれている。信澤と浅岡。2人の“センターバック”の躍動は、正念場を迎えた川崎U-18が3試合ぶりのリーグ戦勝利を掴むためにも必要不可欠。彼らがどういう形でチームの結果に貢献するか、大いに注目したい。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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