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『全国4強からのリスタート』は代表選手を巡るマッチアップに注目。柏レイソルU-18×横浜FCユースマッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第13節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史柏レイソルU-18の右サイドバックを務める足立凱
9月に入り、約2か月ぶりに再開する高円宮杯プレミアリーグ。今節で対戦する柏レイソルU-18と横浜FCユースには、ある“真夏の共通点”がある。それは、7月末から8月上旬にかけて行われた日本クラブユース選手権(U-18)サッカー大会、通称“クラセン”で全国ベスト4まで躍進したことだ。
だが、柏U-18はやり切れない想いを大会に残すことになる。横浜F・マリノスユースと対戦した準決勝は前半早々に2点を先制されながら、山本桜大が1点を返すと、前半終了間際に再び山本のゴールで同点に。追い上げムードでハーフタイムを迎えたが、雷雨によって試合続行が難しく、中止という決定に。大会規定による抽選の結果、後半を戦うことなく敗退という結末を突き付けられた。
試合後には多くの選手が涙を流していた。取材エリアに出てきたキャプテンの西村龍留も時折言葉を詰まらせながら、「抽選に行ったら、もう誰も責められないですし、ここはもうしっかり受け止めて、酒井さん(酒井直樹監督)が言ってくれたように胸を張って帰るしかないと思います」と毅然と言い切った態度は実に立派で、印象に強く残っている。
一方の横浜FCユースはグループステージを3連勝で勝ち上がると、ラウンド16では前年度のファイナリスト・北海道コンサドーレ札幌U-18を、準々決勝ではプレミアリーグWESTで首位を快走する優勝候補筆頭のサガン鳥栖U-18を撃破し、チーム初の全国4強へ。準決勝では結果的に日本一を勝ち獲ったセレッソ大阪U-18に0-1で惜敗したものの、クラブ史に新たな1ページを刻むことに成功した。
共に久々のリーグ戦となる今節は、“代表選手”を巡るマッチアップに注目したい。8月末に静岡で開催された『2022 SBSカップ 国際ユースサッカー』。同大会に参加したU-18日本代表には、横浜FCユースから2人の選手が招集された。1人は192センチの長身センターバック、ヴァンイヤーデン・ショーン。もう1人はチームの10番を託された高塩隼生。揃って全3試合に出場し、他国の代表チーム相手にも好パフォーマンスを披露している。
U-18日本代表でも活躍した横浜FCユース・高塩隼生
ヴァンイヤーデン・ショーンはカナダと日本の二重国籍。身長の高さが一際目を惹くが、「自分の一番の強みは、高さと、球際の強さと、全部ひっくるめて闘争心というところです」と言い切るように、戦えるメンタルも魅力的。今シーズンはケガもあって、プレミアでは欠場する期間も多かったが、ディフェンスラインの中心選手として、今回の代表で得た経験をチームに還元したい。
このヴァンイヤーデン・ショーンとのマッチアップが予想されるのが、前述した柏U-18のストライカー山本だ。クラセンでは6ゴールを叩き出し、見事大会得点王に。プレミアでもここまで8ゴールと、今まで以上に得点感覚を解き放ちつつある。ポストプレーやアシストにも秀でた万能タイプでもあり、この男がどれだけ攻撃に関与できるかが、そのままホームチームの出来を左右することは間違いない。
今年のプレミアには好ストライカーが多く、8月の代表活動ではU-19代表にFC東京U-18の熊田直紀と横浜F・マリノスユースの内野航太郎、U-18代表に川崎フロンターレU-18の五木田季晋と大宮アルディージャU18の高橋輝が呼ばれたものの、山本は招集外に。その立ち位置を引き寄せるためには、先に初代表を味わったヴァンイヤーデン・ショーンの壁を超えることは必要不可欠。2人の対峙が今から楽しみだ。
横浜FCユースの左サイドを活性化する高塩も、SBSカップでキャリア初の年代別代表招集を受け、持ち前のアグレッシブな突破で存在感を放っていた。3-4-2-1を敷く自チームでは左ウイングパック起用が多い中、U-18日本代表は4-3-3を採用していたため、左サイドバックでプレー。守備に軸足を置きながら、攻撃面での貢献度も小さくなかった。
この高塩と対面で向かい合いそうなのが、柏U-18の右サイドバックを務める足立凱。自ら「走るところが自分のストロングポイント」と語るだけあって、攻守に上下動できる運動量とスピードが特徴的。昨年4月にはU-17日本代表候補合宿にも参加し、高いレベルでの刺激を体感してきており、今回も“代表選手”とのマッチアップを意識していないはずがない。
攻撃でも守備でも試合に関われることは、現代のサイドプレーヤーにとってもはや必須条件。足立と高塩。チームを代表する“矛”が、対面の“盾”をどう打ち破っていくかは、そのままサイドの主導権争いへ直結する。彼らの意地の張り合いは、見逃せない。
現在のリーグ順位は柏U-18が7位、横浜FCユースが9位ではあるものの、勝ち点はどちらも15とまったく同じ。真夏の全国で得た手応えを、後半戦の勢いに変えるためにも、どちらも勝利だけが求められる90分間の“ガチバトル”、期待大。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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