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1点目は鹿島の選手たちが勝手に集中力を欠いてしまったミスによるもので、2点目の岩田のゴールもオフサイドを取られても仕方のない状況だったので、横浜のゴールは幸運にも恵まれたものだったが、それでも内容的には横浜の完勝だった。
さて、横浜が鹿島に完勝してそのチーム力を見せつけていた同時刻に行われた試合で、横浜を追う川崎は浦和レッズに敗れて勝点を失ってしまった。
だが、川崎は新型コロナウイルス感染症の影響で多くの選手が参加できず、ベンチにはGK3人を含めて5人しか座ることができないという異常事態の中で戦っていたのだ(つまり、実質的な交代要員は2人のみだった)。しかも、サイドバック専門の選手4人(山根視来、登里享平、佐々木旭、そして車屋紳太郎)がそろって出場できなくなってしまい、本来はMFである橘田健人と瀬古樹がSBを務めていた。
今シーズンの川崎は、これまで苦戦の連続だった。あの川崎が点が取れずに苦しんでいるのである。昨シーズン前半の絶対的強さを誇っていたチームから三苫薫(現ブライトン=イングランド)、旗手怜央(現セルティック=スコットランド)、田中碧(現デュッセルドルフ=ドイツ)が抜け、さらに今シーズンに入ると守備ラインのジェジエウや登里が負傷で離脱。MFの大島僚太もやっとケガから復帰したと思ったら、再び負傷で戦列を離れてしまったのだ(川崎の場合、むしろこれだけ中心選手がいなくなったにも関わらず、しぶとく勝点を拾って現在の順位に付けていることの方が驚きだ)。
しかし、大島は再び戦列離脱となったものの、ようやく登里とジェジエウが復活。復活直後はまだゲーム勘に問題があった登里もパリ・サンジェルマンとのプレシーズンマッチでは非常に良いプレーができるようになっていた。
登里とジェジエウがフルの状態に戻って守備ラインが安定すれば、攻撃の厚さも戻ってくるだろうし、今シーズン加入してまだ完全にはフィットしていなかったチャナティップが馴染んでくれば、そこは過去5年間で4度も優勝した強豪だ。首位を走る横浜の独走に待ったをかけることも不可能ではないはずだ。
8月7日の「天王山」。川崎がどのような陣容で戦えるようになるのかも含めて、今シーズンの優勝の行方を占う試合として大いに注目したい。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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