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横浜F・マリノスの勢いが止まらない。第20節では堅守を誇る難敵サンフレッチェ広島を相手に3対0で完勝し、2位以下との勝点差をさらに開いた。これで横浜はリーグ戦では6連勝。しかも、3試合連続で3ゴール以上を決めたのだ。
5対3で勝利した清水エスパルス戦から中3日の広島戦だったが、ケヴィン・マスカット監督は先発3人を変更しただけだった。「好調時にはチームを変えるな」という格言通りの戦い方だ。
だが、試合中には選手交代をしっかり使って前線の3人を代えたほか、松原健と畠中槙之輔も休ませた。なにしろ、再び中3日の日程で第21節のセレッソ大阪戦がやって来るのだ。
そういう采配が安心してできるのは、選手層の厚さがあるからだ。
なにしろ、広島戦では57分に最初の選手交代として小池龍太と宮市亮の2人をピッチに送り込んだと思ったら、直後にこの2人が絡んで2点目となる西村拓真のゴールが決まったのだ!
今の横浜には、2019年に優勝した時のマルコス・ジュニオールのような“絶対的な存在”はいない。「誰が出ても同じように戦える」……。今の横浜はまさにそんなチームになっている。
昨シーズン途中から、横浜に加わった宮市亮も初めは周囲とのコンビネーションが悪く、能力を生かし切れていないでいたが、最近はすっかりチームに馴染んできており、とても良い位置取りをしてゴールに絡み続けている。
今シーズンから加わった西村も、今では得点力や強さのあるトップ下としてこのチームになくてはならない選手となり、西村が先発し、後半の途中からテクニシャンのマルコス・ジュニオールがトップ下に入るというのも勝ちパターンとして定着した。
若い選手もチームに馴染んできている。たとえば、23歳のMF渡辺皓太。昨年まではテクニカルで良いプレーをする選手ではあったが、アンジェ・ポステコグルー監督の就任以来、作り上げられてきて完成度の高い横浜のリズムと噛み合わないところがあり、あくまでも他のMFが使えない時にその穴を埋める存在だった。
だが、横浜での4シーズン目を迎えた今年、渡辺はすっかり横浜というチームの欠くべからざる一員となった。自分が横浜のリズムに馴染むと同時に、むしろ、彼が入ることによって攻撃のリズムに変化を加えてチームの攻撃を引っ張ることができる存在となったのだ。
さらに、今シーズン横浜に入団したばかりの藤田譲瑠チマは、すでに横浜でレギュラーの座を狙う存在となっている。フィジカルの強さを生かしたボール奪取。ポジション取りのうまさ。そして、奪ったボールを前線にまで運ぶ技術。まだ20歳という年齢だけに、これからさらに力を伸ばしていくことが期待される選手である。
ところで、渡辺と藤田の2人はともに東京ヴェルディの下部組織出身で、東京VでJリーグデビューを果たした選手たちだ。MFでこの2人が組めば、同じクラブの下部組織で育った選手同士のコンビネーションを生かすことができるので、横浜にとって一つのアドバンテージとなるに違いない。
さらに言えば、27歳で、横浜で5シーズン目となるDFの中心選手、畠中槙之輔も東京V出身であり、東京Vで実績を積んでから横浜に加入した選手だ。
つまり、渡辺、藤田がボランチに入れば、畠中も含めてチームの中心を東京Vユース出身選手で固めることになる。
さて、藤田はパリ・オリンピックを目指すU-21日本代表でも中心選手となっており、先日ウズベキスタンで行われたのAFC U-23アジアカップでは全試合に出場して準決勝進出に貢献した。
そして、U-21日本代表でも東京V下部組織育ちのDF馬場晴也やMFの山本理仁と一緒にプレーする機会も多かった。ともに、現在も東京Vの主力としてJ2で戦っている選手たちだ。
山本は藤田と同じくボランチであり、馬場はセンターバック。3人が同時に出場すれば、横浜での藤田-渡辺-畠中のトライアングルと同様に、チームの核となるポジションで東京Vのコンビネーションを生かすことができるというわけだ。
藤田はAFC U-23アジアカップで6試合すべてに出場(うち5試合でフル出場)と中心選手となっているし、山本も90分フルにプレーした試合はなかったが、やはり6試合すべてに出場。馬場は、グループリーグ第3戦のタジキスタン戦から決勝までの4試合連続でフル出場している。
驚くべきは、東京ヴェルディといういクラブの育成力だ。
最近、年齢制限のない日本代表では川崎フロンターレ出身選手が多いのが話題になっている。
現在も川崎に在籍している谷口彰悟や山根視来、そして、昨年あるいは一昨年まで川崎で活躍していた守田英正、三笘薫、旗手怜央。さらに、川崎下部組織出身の板倉滉や久保建英、10年以上前に川崎でプレーした川島永嗣を含めれば川崎出身選手は日本代表の3分の1を占める大勢力となっている。
さすがに、J1リーグの絶対王者だけのことはある。
だが、年代別日本代表では東京Vも、多くの選手を代表に送り込んでいるのだ。
Jリーグ開幕当時は絶対王者だった東京Vだが、もう10年以上J2リーグでプレーしており、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督時代の2017年と18年にJ1昇格プレーオフに出場したことがあるものの、すっかり“J2の中位”に定着してしまっている。今シーズンも開幕当初は上位に付けていたが、第25節終了時点で9位という地位にいる(もっとも、J2中位は大混戦で、1試合で順位は大きく上下するが…)。
毎年のように育てた選手を引き抜かれ、トップチームの強化には結びつかない。だが、それでもこのクラブの育成の伝統はまったく衰えていないのだ。
前身は、1969年に将来のプロ化を見据えて創設された読売サッカークラブだ。
実業団チーム全盛の時代で、選手育成はもっぱら高校のサッカー部が担っていた時代から選手の育成を行っており、トップチームの選手を見ながら若い選手が次々と育ち、そして高校生年代でトップリーグ(JSL)での出場機会が与えられた。今では、当たり前のことだが、そんな若手の育成を50年前からやっていたのが読売クラブ、現在の東京Vなのだ。
こうした環境から、小見幸隆をはじめ戸塚哲也や都並敏史といった日本代表クラスの選手を次々と世に送り出してきた。そして、トップチームがJ2でプレーするようになってからもその伝統は守られ、最近でも中島翔也や安西幸輝など代表クラスの選手を育て、現在はU-21日本代表の主力として3人の選手を送り込んでいるのである。
ちなみに、先日(7月3日)に行われたJ2リーグ第22節の琉球FC戦では、これまでクラブでも代表でもセンターバックを務めてきた馬場が右サイドバックとして起用された。城福浩監督が、その攻撃力を生かそうとしたコンバートだった。そして、馬場は非常にダイナミックな攻め上がりを武器に、慣れないポジションとは思えないほどの落ち着いたプレーを見せた。順調に育っていけば、センターバックもこなせる貴重なサイドバックとなっていくかもしれない。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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