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サッカー フットサル コラム 2022年6月10日

青黒の5番を託された絶対的リーダー。ガンバ大阪ユース・桑原陸人に膨らむ未来のイメージ 【NEXT TEENS FILE.|高円宮杯】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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宮本恒靖。山口智。丹羽大輝。そして、三浦弦太。青黒の5番を背負うセンターバックは、そのまま日本を代表する守備者とイコールであり続けている。そして、ここにまたその系譜を継ぎ得るような、才気あふれるティーンエイジャーが現れた。

「自分はあまり身長は大きくないですけど、そこは絶対言い訳にしたくないので、空中戦でもしっかり相手に勝って、チームを引っ張っていけるようなセンターバックになりたいと思います」。

既にルヴァンカップではスタメン出場も果たすなど、クラブの期待も高い新進気鋭の17歳。ガンバ大阪ユースを束ねる絶対的リーダー。桑原陸人の存在感は、ひとたびピッチに立つと、より眩い輝きを放ち出す。

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とにかく、上手い。ビルドアップの起点になるような、正確なパスワークを操るボールコントロールは朝飯前。時にはプレッシャーを掛けに来た相手フォワードを華麗にドリブルで剥がし、そのまま運んでいくことも。この男、守備だけにとどまるようなタマではない。

とにかく、強い。サンフレッチェ広島ユースと対峙したプレミアリーグの一戦でも、空中戦はほとんど勝利。入ってくるボールは、抜群のバネを生かした高い打点のヘディングでことごとく跳ね返す。「自分が競り勝って、声を出せばチームにも勢いが付くかなと思うので、そういうキャラじゃないですけど、自然と出てまうというか(笑)」とは本人だが、競り勝ってからの雄叫びまでがワンセット。タイマン上等。メンタルの強さも頼もしい。

チームを率いる森下仁志監督も「陸人は素晴らしかったよ。セルヒオ・ラモスだね」と笑いながら、「やっぱりトップでやらせてもらっているから、パトリックだ、レアンドロ・ペレイラだ、という中でやってきていれば、ユースでは何てことないと思うよ。プロになってほしいね。陸人は凄いと思う」と大きな期待を寄せている。

広島ユース戦でも0-0で迎えた後半アディショナルタイムに、相手の高速アタッカーがエリア内へ侵入してきた大ピンチも、完璧なスライディングで回避。今季初の無失点に大きく貢献したが、「立ち上がりから最後まで今日は全員が戦う姿勢を見せられたのは良かったですし、その中で初めて無失点というのは1つ収穫ですけど、そこで勝ち切れるかがこれからの課題やと思います」と現状に満足する様子もない。

前述したように、既にルヴァンカップではトップチームデビューを果たし、J1リーグでもベンチ入りを経験。プロの空気を体感した中で、大きな気付きを得たという。

「Jリーグの柏レイソル戦で初めてベンチ入りさせてもらって、その試合は1-0で勝ったんですけど、その時のチームの一体感とか、勝った時のサポーターの喜ぶ姿を見たら、『やっぱり試合には勝ちたいな』と思いました。ルヴァンでもスタメンで出させてもらった中で、トップは1つ1つのプレーの質や強度は全然違いますし、その高い基準をユースに持ちこめば、周りも付いてきてくれると思うので、その高い基準でやり続けようと思っています」。

普段のトレーニングも周囲は代表クラスの選手ばかり。刺激しかない環境に身を置きながら、自分の立ち位置はしっかりと把握している。「トップには三浦選手や昌子(源)選手と日本代表クラスの人がいて、(クォン・)ギョンウォン選手も韓国代表に選ばれましたし、世界レベルの選手たちがいる中で、良いところを盗みつつ、自分にはまた違う強みがあると思うので、足元の技術を生かしながら、ボールを前に付けていったり、攻撃参加したりという強みを出していきたいと思います」。やはりこの男、只者ではない。

今シーズンのG大阪ユースは、まさかのリーグ開幕4連敗スタート。苦しい状況に3年生だけで開催したミーティングが、チームにとって大きな契機になった。泣きながら話す選手もいたというその席上で、キャプテンも自らの偽らざる思いを口にしたそうだ。

「個人的に去年は良いメンタルでやれていたのに、去年できていたことができなくなっていくような感覚があって、トップ昇格も決まっていく時期の中でいろいろな気持ちの葛藤もありましたし、ホンマに思っていることを全部話しました。たぶんみんなで3時間半ぐらい話したと思います」。

そのミーティングを経て、桑原自身も自分を解放できたことを実感している。「僕もキャプテンという立場で、『チームを引っ張らなきゃな』って、『弱い部分を見せられないな』と思っていたんですけど、今は横にいる(井上)秀悟に『こういう時は、こういう声を掛けて助けてくれ』と言えるようになりましたし、僕だけじゃなくて、学年を超えた横と縦の繋がりが出てきたかなと思うので、これからもやり続けたいです」。頼りになる仲間の存在が、自身のプレーに好影響を与えていることは間違いない。

プレミアの試合が行われたグラウンドのすぐ横には、パナソニックスタジアム吹田がそびえ立つ。ルヴァンカップではそのピッチを経験した桑原だが、次はリーグ戦で同じ舞台に立つことが、まずは直近の大事な目標だ。確実に見えてきたそのチャンスを、果たして掴み取れるか。多くの人の希望を背負った17歳には、きっともうそのイメージが十分過ぎるほどに膨らんでいる。

文:土屋雅史

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土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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