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森保一監督の決断は
カタール・ワールドカップを目指す日本代表は6月2日のパラグアイ戦(札幌)を皮切りに4試合を戦う。とくに、6月4日にはFIFAランキングで1位に返り咲いたばかりのブラジルと対戦する。ワールドカップ本大会ではドイツ、スペインという優勝経験国と同じグループに入った日本としては、“格上”相手にも気おくれせずに戦えるよう、ブラジル戦で手応えを感じておきたいところである。
同時に、4試合をトータルして戦いぬくことも重要だ。
というのは、6月の4試合がすべて中3日の4連戦になっているからだ。ワールドカップ本大会でも初戦のドイツ戦の後、大陸間プレーオフの勝者(コスタリカまたはニュージーランド)との第2戦、さらに最後のスペイン戦まですべて中3日の日程になっている。そして、もし決勝トーナメントに進出すれば、ラウンド16も中3日または4日で戦うこととなる。
森保一監督が掲げる今大会の目標は、ベスト8進出。そのためには、強豪相手の過酷な3試合を戦った後、4試合目もしっかりと戦える余力を残しておく必要があるのだ。2戦目までに勝ち抜けを決めて3戦目にターンオーバーするのが理想だが、対戦相手の顔ぶれを見れば、そういうシナリオは現実性が小さいと言わざるを得ない。
従って、6月の4試合を「模擬ワールドカップ」と考えてローテーションさせて疲労を押さえながら戦うシミュレーションをしておきたい。
今年のワールドカップは、ヨーロッパのシーズン真っただ中の11月に開催される。各国リーグも直前まで行われているので、大会前に日本代表が集合できるのは開幕1週間前頃になる。これまでのワールドカップのように、3週間も前から準備を進め、大会前に調整試合を戦うことができないのだ。
9月にも強化試合が予定されているが、9月の2試合は集合して試合を行ってすぐに解散というスケジュールとなる。つまり、16日間にわたる6月の合宿および試合を通じて完成度も上げておかなければならないのだ。
選手のコンディションもバラバラという中(ヨーロッパのクラブでプレーしている選手の多くは試合から離れており、逆にJリーグ組は29日の日曜まで試合があった)、いくつものタスクをこなさなければいけないのである。
ピッチ上でも、さまざまな課題があるが、ここでは3つに絞って考えておこう。
1つは、守備ラインの組み方である。
冨安健洋がプレミアリーグのアーセナルで活躍し、代表の主将でもある吉田麻也とのセンターバックコンビは盤石で、彼らとともにオーバーエイジとして東京五輪でもプレーした右サイドバックの酒井宏樹も含めて守備は盤石に見えた日本代表だったが、酒井宏樹は負傷のため6月シリーズには招集されなかった。また、冨安は2022年に入ってからは故障を繰り返して出場数は限られていたし、吉田も万全ではなさそう。左SBのベテラン、長友佑都もFC東京の試合では「違和感がある」という理由で90分の出場を避けている状態なのだ。
DF陣のコンディションが悪いということになれば、今回は新しい守備ラインを試さざるを得ない。
板倉滉
軸になるのは板倉滉である。これまでにも、吉田や冨安が欠場した試合では板倉は見事に代役をこなしていた。また、昨シーズンはブンデスリーガ2部のシャルケで素晴らしいプレーを続け、ヨーロッパでの評価もうなぎ上りだ。
谷口彰悟
DF陣の状態によっては板倉を中心にJリーグ組の谷口彰悟や初招集の伊藤洋樹を使う事態になるかもしれない。初招集の伊藤は経験はないが、守備的MFとして日本代表の中盤を引き締めている遠藤航と同じシュトゥットガルトに所属しているので、遠藤とのコンビネーションは悪くないはずで、それは伊藤にとってのアドバンテージとなる。
鎌田大地
MFとしては鎌田大地が久しぶりに招集された。昨シーズンの開幕直後に調子を落としていたが、シーズン後半には復活し、フランクフルトのヨーロッパリーグ優勝に大きく貢献したことで、久しぶりの招集となった。
鎌田は日本代表では4−2−3−1のトップ下としてプレーすることが多かったが、鎌田不在で戦ったワールドカップ最終予選の間に、日本は4−3−3にシステムを変更し、遠藤をアンカーとしてインサイドハーフに守田英正と田中碧という布陣が定着してしまっている。
田中碧
鎌田を復活させる場合に、4−3−3のインサイドハーフに(守田、田中の代わりに)はめ込むのか、それとも鎌田復活によって4−2−3−1に再転換するのかという難しい選択に迫られる。フィニッシュ段階での正確なパス出しという鎌田の能力は活用したものでもあり、6月シリーズの間にテストが行われるだろう。
そして、6月シリーズでの日本代表の最大の課題がワントップ(センターフォワード)である。これまで、日本代表のFWとして“絶対の存在”だった大迫勇也が、今シーズンに入って調子を落としたことで、今回は招集されていないのだ。
これまでにも、「大迫不在の場合」については様々な議論があったが、最終的には大迫頼りのまま推移していたが、招集回避となったために、今回は本気で大迫の代役探しをしなければならなくなった。
古橋亨梧
最有力候補は鹿島アントラーズの上田綺世とセルティックの古橋亨梧である。
上田は東京オリンピックを目指したチームで常に主力としてプレーしていた選手。左右両足はもちろん、ヘディングも強い総合的なCFだ。ゴール前でパスを収めて起点を作るのもうまい。
これまで、日本代表では大迫がいることを前提にチームが作られてきた。つまり、前線で大迫がボールを収めてくれる。それを利用して2列目以下の選手が顔を出す時間を作るわけだ。
そういう意味で、ボールを収めてポストプレーもできる上田であれば、チーム作りの方向は大きく変える必要はない。
もう一人の有力候補の古橋は、セルティックに移籍すると1年目からゴールを量産。長期の離脱がありながらも、2桁得点を記録した。この古橋は(大迫や上田とは違って)スピードを生かして相手DFの裏に抜け出すタイプ(その他のポスト大迫候補の前田大然や浅野拓磨もスピード系)。もし、古橋を攻撃の軸とすることになれば、大迫がいる場合とは攻撃の組み立てを替えて行かなければならなくなる。
ただ、一方でドイツやスペインの屈強なDFを相手にする場合は、ポストプレーをする大迫や上田よりも、スピードを生かして裏を取るのがうまい古橋のようなスピード系FWの方が、相手にとっては嫌な存在となるかもしれない。
6月の4試合では上田、古橋などがテストされることになる。これこそが、6月シリーズに臨む日本代表の最大の注目点かもしれない。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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