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サッカー フットサル コラム 2022年5月24日

青森山田伝統の10番の継承者。小湊絆がこのまま終わるわけがない 【NEXT TEENS FILE.|高円宮杯】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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小湊絆

絶対王者がプレミアの舞台で苦しんでいる。開幕3連勝と最高のスタートダッシュを切りながら、第4節からまさかの5連敗。近年残してきた成績を考えると、にわかには信じられないような状況だ。そんなかつてないような逆境に立たされているチームを救えるのは、きっとこのエースしかいない。

「今年は10番を付けさせてもらうことになって、もちろん玖生さんと比較されるのはわかっています。でも、自分はフォワードをやっていて、自分の背中を全員に見てもらえるので、背中で引っ張れるようなプレーをしたいと思っています」。

ならば、ここからゴールを決めまくって、チームをその背中で牽引してもらおう。青森山田のナンバー10。この高校で、この背番号を託される意味を誰よりも理解している男。小湊絆が、このまま終わるわけがない。

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EAST王者に輝いた昨シーズンのチームは、そのほとんどが3年生の選手で占められる中、リーグ戦では先発こそなかったものの、17試合すべてでベンチ入りを果たし、ゴールも記録。間近で最強集団の息吹を感じてきた。

中でも絶対的なエースの姿は、2年生だった小湊にとっても、とにかく眩しく見えた。「玖生さんはピッチの中でも外でも堂々としていて、本当にずっと『カッコいいな』と思っていました」。松木玖生。高校年代三冠をすべてさらっていった青森山田の象徴的な存在は、今シーズンもFC東京でレギュラーを獲得し、変わらぬオーラを放ち続けている。

そんなスペシャルな先輩の後を引き継いで、背負うスペシャルな番号。プレッシャーがないはずもないが、発する言葉も頼もしい。「玖生さんの10番に少しでも近づけるように、真似するというわけではないですけど、自分なりの10番像を描きながら、やっていければいいかなと思っています」。自分が青森山田の10番を付ける意味を、1年掛けて証明していく覚悟はとっくに定まっている。

三冠王者という称号を得てしまったチームに、かつてないほどの重圧が掛かってくるであろうことは、もうシーズン前からわかっていたこと。リーグ開幕直前の3月の時点で、小湊はこう話していた。

「青森山田でも三冠した後の代というのは今までにないので、もちろん自分たちが何もしなくても、勝手に周囲の目が集まりますし、プレッシャーが掛かるのはわかっていますけど、自分はそのプレッシャーを受け止めるのではなくて、期待されているというふうにポジティブに考えながら、その注目度をさらに上げられればいいかなと思います」。

自分が果たすべき役割に関しても、実に自覚的だ。「結果を残してチームを少しでも楽にさせるという部分もそうですけど、ピッチ内外での自分の取り組みや、練習からの姿勢を見せて、『絆がやっているから、自分もやらないとな』と言われるような行動や言動を意識しながらやっていきたいと思います」。

ここまでのリーグ戦で挙げたゴールは、わずかに開幕戦の市立船橋高校戦で決めたPKだけ。決して多く巡ってきているわけではないチャンスも、ことごとくDFのブロックやクロスバーに阻まれている。この結果に誰よりも不甲斐ない想いを抱えているのが、本人であることは言うまでもない。本来の主将の多久島良紀が依然として欠場しており、中山竜之介も不在の中、ここ2試合はキャプテンマークも任されていることで、あるいはより責任を強く感じているだろうか。

だが、この男の持ち味は、ある意味で枠にハマらない奔放なプレースタイル。人を食ったようなテクニックを発揮しつつ、意外なところに現れ、さらりとゴールを奪っていってしまう。そんなシーンは昨年度の高校選手権でも、この春のプレシーズンでも、何度も目にしてきた。

青森山田の10番だという事実は、間違いなくある。だが、小湊絆は小湊絆だ。ゴールを挙げたチームメイトには誰よりも速く駆け寄り、みんなで一緒に喜ぶ姿も、自分が得点を決められない時には、明らかに納得のいかないような表情を浮かべる姿も、どちらも彼のキャラクター。その両方を抑え込むことなく、十全に解き放つことが、きっとチームにより大きなエネルギーを生み出していくはずだ。

決意に満ちた言葉が印象深い。「今年は自分が点を決めないとチームも勝てないと思います」。ならば、ここからゴールを決めまくって、チームをその背中で牽引してもらおう。仲間との絆を、繋がりを、結果に昇華できる男。小湊絆が、このまま終わるわけがない。

文:土屋雅史

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土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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