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サッカー フットサル コラム 2022年5月13日

山田皓生と青柳龍次郎。前橋育英が誇る“主役候補”が青森山田撃破の立役者に 【高円宮杯プレミアリーグEAST 前橋育英高校×青森山田高校マッチレビュー】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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前橋育英の“主役候補”。山田皓生(17番)と青柳龍次郎(19番)

この強さは、本物だと言っていいだろう。昨年度の三冠王者でもある青森山田高校を相手に、内容でも十分に上回っての勝利。14番を背負ったキャプテンの徳永涼がピッチを華麗に舞えば、10番の高足善は果敢なドリブル勝負を繰り返し、きっちりゴールも記録。今季はフォワードを任されている小池直矢も再三際どいチャンスを作り出すなど、昨シーズンから出場機会を得てきた主役を担うタレントたちが、ピッチで躍動する。

だが、この日の勝利を引き寄せた小さくない要因として、今年からトップチームでの定位置確保を窺い始めた2人の存在は、決して語り落とせない。右サイドハーフの山田皓生と、ドイスボランチの一角を任されている青柳龍次郎。2022年の“主役候補”に名乗りを上げつつある彼らの活躍は、前橋育英が期すさらなる成長の大きなカギを確実に握っている。

「自分だけ前線で点が獲れていなくて、前の試合でも僕が決定機を外して、苦しい展開になっていたので、『オマエじゃ入らない』みたいに言われてたんです(笑)」。山田は苦笑交じりに、ここまでの自身をそう振り返る。チームとしても初昇格のプレミアリーグ。開幕からの4試合で13得点とハイパフォーマンスを続ける攻撃陣の中で、唯一ゴールを奪えていない時間が続いていた。

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だが、大一番でそんな無得点の男が、堂々と主役の座をかっさらっていく。まずは前半17分。青柳の鋭い縦パスから、高足が優しく流したボールに、鋭く抜け出した17番は右足を強振。ニアサイドを抜けた軌道はゴールネットへ突き刺さる。「善から良いボールが来たので、あとは流し込むだけでした」とは本人だが、動きの質も含めて決して簡単ではない一連の流れに、非凡な得点感覚が光る。

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続いては、同点に追い付かれて迎えた42分だ。大久保帆人と高足との連携で左サイドを切り裂いた山内恭輔が、そのまま速いクロスをグラウンダーでニアへ。「ゴール前の入り方は練習からいろいろな形をやっているので、キーパーとの間にタイミングよく飛び込めました」という山田は、完璧な崩しの形をゴールという形で締め括ってみせる。その鮮やかなアタックにはスタンドからも大きなどよめきと拍手が。ここまでなかなか結果に恵まれなかった男の2ゴールが、絶対王者の青森山田撃破という成果を前橋育英にもたらした。

【ハイライト】前橋育英高校 vs. 青森山田高校|高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2022 EAST 第6節

「今までこういう大勢の人の前で試合をすることはなかったので、嬉しい気持ちでいっぱいでした。青森山田は去年の王者ですし、今年も上位にいて、絶対に負けられない相手だと思っていたので、勝ち切れたのは凄く良かったなと思います」と語った山田は、最後に「今日で少し取り返せたかなと思います」とニコリ。この日のヒーローの笑顔が眩しく輝いた。

「やっぱり『応援って凄くありがたいな』って思いました。歓声もたまに上がっていたじゃないですか。試合中に笑顔が出てしまいましたね。『これが有観客か』って。足元で良いプレーをしている時に『おお!』とか聞こえて、それでちょっと舞い上がってしまったり(笑)」。青柳は高校に入学してから、初めて臨んだ“有観客”の一戦を楽しそうに振り返る。19番のボランチが中盤を気持ちよく泳ぎながら、攻守に効果的なプレーを繰り返すことで、チームに確かなテンポが生み出されていく。

そもそもはアタッカーの選手。「涼が『安心して上がっていいよ』と言ってくれるので、結構前目でプレーすることが多いですね」と本人も話すように、徳永が少し後ろでにらみを利かせながら、青柳が積極的に前へと飛び出していくバランスも抜群。開幕戦では自らゴールも奪うなど、3列目からの攻撃参加は大きなスパイスになっている。

昨シーズンからレギュラーを務め、日本高校選抜にも選出されていた根津元輝が現在は負傷離脱中。そのポジションに入る格好となった青柳は、率直な想いをこう明かす。「なるべく代役ということは考えないようにしています。『代役じゃなくて、自分は自分だぞ』という感じで見てほしいと思っていますし、試合中も声を出すことや、涼と一緒にチームを引っ張ることを意識しています」。

ここまでの試合を見る限り、もう“代役”という枕詞は必要なさそうなパフォーマンスを継続していることもあり、「龍次郎いいでしょ。元輝もこのままだと出る幕がなくなっちゃいますよね」とは山田耕介監督。この日は途中からサイドハーフも務めるなど、もはやチームにとって欠かせないパーツであることは間違いない。

「自分の攻撃の強みを出していけたら、このチームはもっと強くなるんじゃないかなと思っているので、それを今後もどんどん生かしていきたいです」。青柳の言葉が力強く響く。昨年度の高校選手権ではメンバーにも入っていなかった、山田や青柳のような“主役候補”の台頭が、グループのさらなる進化を促していく。選手たちがお互いに高め合っていく今の好サイクルを考えれば、シーズンが終わった時に、前橋育英がプレミアの栄冠を勝ち獲っていたとしても、少しも不思議ではない。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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