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新米指揮官のダービー勝利。前田遼一監督に託されたサックスブルーの未来 【高円宮杯プレミアリーグEAST ジュビロ磐田U-18×清水エスパルスユース】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史前田監督
必要以上に言葉を並べるわけではない。自分の想いをぶつけるような口調でもない。それでも、話を聞いていた選手たちの戦闘意欲が確実に高まっていく様子は、近くで見ていて明らかに感じられた。その立ち姿は、間違いなくチームを掌握している監督としてのそれだ。
「本当にやりがいのある仕事に就かせてもらって感謝していますし、いろいろやるべきことも多いですけど、他のスタッフにも支えられて、それも含めて今は楽しくやらせてもらっています」。
前田遼一。40歳。ジュビロ磐田の今後を担う若き才能の未来は、サックスブルーのユニフォームに袖を通すことの意味を、誰よりも熟知しているこの男に託されている。
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高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2022
毎節注目試合を生中継中心に放送!
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高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2022 EAST 第3節-1 大宮アルディージャU18 vs. 青森山田高校
放送日:2022年4月17日(日) 放送時間:午前 10時 50分~午後 1時 25分
清水エスパルスユースと対峙した“静岡ダービー”。メディアの数がプレミアリーグでは異例の多さだったことからも、この一戦へ向けられる関心と興味の高さがよくわかる。だが、今年からジュビロ磐田U-18の指揮官に就任した前田監督は、特別にダービーを強調するようなモチベートはしてこなかったという。
「エスパルスとは中学1年生の頃からよく試合はしていて、全然勝てていないという話も聞いていたので、『気持ちの部分で負けてほしくないな』と、そういう部分での不安はありましたけど、(試合に向けて)特別なことはしていないです。僕は普段の一戦と同じような気持ちで臨みました。今日も外から見ていても、選手もそこまで特別に思っているような感じはしなかったですね」。
ジュビロにとって、エスパルスは黙っていても意識せざるを得ない相手だということは、もちろん選手たちもわかっている。そこを強調して煽る手法もあれば、あえて多くは語らずに内側から情熱を引き出す手法もあるはずだが、この新監督からはどちらとも違う印象を受けた。表現するなら、『究極の自然体』とでも言えるだろうか。
「ダービーはもちろん負けられないですけど、そもそもダービーとか関係なく、1試合1試合全部勝たなくてはいけないと思っているので、そこはあまりこだわってはいなかったです」(DF李京樹)「ダービーだからというのはそこまで強く自分の中では意識していなくて、どこが相手でもいつも試合前は同じモチベーションで入っています」(MF後藤啓介)。主力の2人が同じような言葉を並べるあたりに、指揮官の意図がポジティブに伝播している様子が窺える。
ところが試合が始まると、前田監督はその大半の時間をテクニカルエリアで過ごしていた。「普段練習でやっていることを出してほしいということで、ボールをしっかりと大事にしながらも、アグレッシブに戦ってもらおうと思って、そういう声掛けをしました」。特に前半はコーチ陣とともに作戦ボードを動かしながら、ベンチに座ることの多かった清水ユースの澤登正朗監督とは対照的。声を張り上げるシーンも決して少なくない。
試合は後半に入り、清水ユースに先制を許すと、前田監督はすぐさま動く。失点の5分後に1人目の交代を決断し、ボランチの後藤を最前線にスライド。その後も相次いで攻撃的なカードを切りながら、勝利を手繰り寄せるべくアグレッシブな策を講じていく。
81分。高い位置でボールを奪ったFW伊藤猛志が、そのまま冷静なシュートを沈めて同点に。以降も磐田U-18の勢いが、相手を飲み込んでいく。そして、後半アディショナルタイムの90+4分。途中交代でピッチに解き放たれた1年生FW河合優希の股抜きスルーパスを受け、右サイドを駆け上がった李が右足を振り抜くと、ボールはゴールネットへ突き刺さる。
これには前田監督も両手を突き上げてガッツポーズ。「(最後のゴールは)メチャクチャ嬉しかったです(笑)。本当にみんなで頑張ってくれたなと。途中から出た選手も凄く頑張ってくれましたし、まさに選手一丸となって掴んだ勝利かなと思っています」。劇的なダービー勝利に、サックスブルーの笑顔が弾けた。
21年間に渡ってJリーグの第一線で活躍し、日本代表では国際Aマッチ33試合に出場して10得点。指導者の世界に足を踏み入れてまだ2年とはいえ、周囲からの期待は小さくないはずだが、自身のやるべきことははっきりしている。
「彼らはプロを目指している子たちなので、僕がプロでプレーしていて『大事だな』と感じたことをしっかり伝えていけたらとは思っています。いつも言っているのは当たり前のことですけど、大事なのはそこだと思っているので、そういうことは伝えています」。
最後に指導者としての楽しさを尋ねると、さわやかな笑顔を浮かべながら、こう答えを返してくれた。「今日のようにああやって選手が頑張ってくれて、ああやって良い勝利で終われた時は、凄くやっていて良かったなと思います。嬉しかったですね」。やっぱりこの人には、サンコウチョウのエンブレムが良く似合う。
トップチームへの昇格。プレミアリーグでの成果。目の前の試合の勝利。もちろん追い求めるものは、たくさんある。ただ、柔らかい空気を纏いながらも、強い芯と確固たる信念を自分の中に持ち合わせているこの指揮官と巡り会えたことは、これからもサッカーとともに生きていくであろう磐田U-18の選手たちの未来を、より豊かにしてくれるような気がしてならない。
文 土屋雅史
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高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2022
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高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2022 EAST 第3節-1 大宮アルディージャU18 vs. 青森山田高校
配信期間 : 2022年4月17日午前10:50 ~ 2022年4月17日午後1:49
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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