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サッカー フットサル コラム 2021年12月8日

鈴木尋と彼島優。松木玖生と梶浦勇輝。かつてのチームメイトとこれからのチームメイト【高円宮杯プレミアリーグEAST FC東京U-18×青森山田高校】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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『昨日の友は、今日の敵』。あるいは『昨日の敵は、今日の友』。サッカーの世界に生きている選手たちであれば、このフレーズを実感するシーンはキャリアの中で何回も訪れるに違いない。12月5日。FC東京小平グラウンド。このピッチで行われた90分間の中にも、かつてのチームメイトと、これからのチームメイトが、それぞれ想いを交差させていた。

90+2分。ピッチサイドにオレンジのユニフォームを纏った選手が登場する。高円宮杯プレミアリーグEAST第18節。FC東京U-18のホーム、小平に乗り込んだ青森山田は、2点をリードした後半アディショナルタイムに、GKを交代させる。最上級生にとっては1つ1つの試合がより大事になってくるリーグ戦の最終盤。プレミアデビューとなるピッチへ、3年生の鈴木尋が走り出す。だが、この交代に込められた意味は、それだけではなかった。

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「古巣との対戦ということで、まずは『楽しみだな』とここに来る前からずっと思っていて、昨日の夜も結構ソワソワしながら寝ていましたね(笑)」。中学時代をFC東京U-15深川で過ごした鈴木にとって、この一戦は“古巣対決”。相手には勝手知ったる仲間の顔が揃っている。とりわけGKの彼島優とはともに3年間に渡って厳しいトレーニングを重ね、切磋琢磨してきただけに、何よりもピッチ上での再会を楽しみにしてきたのだ。

ゴールマウスへと走っていく最中、鈴木は喜びを隠し切れない。「ずっと深川の時代から憧れていたピッチだったし、そこで相手がFC東京というチームで、こういう環境でできたというのは本当に感謝したいし、嬉しいものがありました。自分もずっと明るいキャラだったので、良い意味で変わらないなというのを見ている人に思ってもらえたらなと思いましたね」。時間にして約3分間。特別な“古巣対決”を終えた鈴木には、再び笑顔が灯っていた。

試合後。彼島と楽しそうに話していた鈴木は、改めて感じたことがあった。「お互いに3年間別々の所でやってきましたけど、やっぱり良いライバルです」。かつてのチームメイトの成長に、刺激を受けないはずがない。ここからはお互いに大学へと進学し、再びプロの世界を目指すことになる。「4年後にあのユニフォームをまた着てやろうと思っています」。FC東京U-18の選手たちを見つめながら、鈴木はやはり笑顔で決意を口にした。

青森山田 松木 玖生 主将 インタビュー【Foot!THURSDAY】高円宮杯 プレミアリーグ2021 EAST 第4節 横浜F・マリノスユース vs 青森山田

「自分にとっては来シーズンからこの小平グラウンドでやるということで、気持ちの入り方がまた一味違うなと思いましたし、ここで来季から自分がプレーすることを考えると、楽しみで仕方がない感じはありました」。

青森山田を率いるキャプテン。高校年代屈指のボランチであり、来シーズンからのFC東京加入が内定している松木玖生は、プロサッカー選手としての“ホーム”になる小平のピッチを、楽しもうと決めていた。この日は一部のクラブ会員も観戦を許された有観客試合。注目度の高い“ルーキー”への大きな期待が、観衆の雰囲気から窺えた。

対するFC東京U-18にも3人のトップ昇格内定者がいる。この日はベンチスタートだった安田虎士朗、野澤零温、そしてキャプテンマークを巻いてボランチの位置に入った梶浦勇輝。彼らはこの1月から松木とチームメイトになり、プロとしてのキャリアをスタートさせる。

負けず嫌いの梶浦が、“これからのチームメイト”を意識しないはずがない。「今日は自分の方がやってやるという気持ちで行きましたし、もちろん負けたくない気持ちはありますね」。同じボランチの位置で2人がマッチアップする場面も。ただ、試合の結果は0-2で青森山田が勝利。松木は2アシストを記録し、チームを勝利に導いた。

後半は野澤と安田も投入され、4人が同じピッチ上に揃う一幕も。「凄く楽しかったです。『寮の部屋決まった?』『まだ決まってないよ』みたいな話をしました(笑)」。 “同期”との交流についても明かした松木。同い年の仲間がいることのありがたさは、きっと今よりもシーズンがスタートしてから実感するに違いない。

梶浦はこの日の敗戦という結果を受けて、こう語っている。「今日は悔しかったという想いしかないです。今年は昇格する選手が多いということで、自分にとってもライバルが多くなっていきますし、どんな状況になっても自分を見失わないで、言い訳も絶対にしないで、絶対に自分を信じてやっていきたいですし、FC東京を代表できるような選手になりたいですね。自分はもう下から這い上がるだけなので、やるしかないと思っています」。

鈴木と彼島。松木と梶浦。戦う舞台は違っても、この春からはそれぞれ横一線のスタートを切ることになる。ただ、その後の進む道がどうであれ、おそらく30年後には、“あの頃”を振り返ってお酒を酌み交わすような関係になっているだろう。一緒に1つのボールを追い掛けた仲間とは、きっとそういうものだ。

文 土屋雅史

【Foot!THURSDAY】高円宮杯 プレミアリーグ2021 EAST 第9節 青森山田 vs FC東京U-18 FC東京U-18  梶浦 勇輝 選手 インタビュー

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土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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