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オーレ・グンナー・スールシャール監督
プレミアリーグ第8節のレスター戦に2-4で敗れた後、マンチェスター・ユナイテッドのオーレ・グンナー・スールシャール監督は、次のように語っていた。
「なにかを変えなくてはならない。なにが必要なのか考えなくてはならない」
だが、三日後のアタランタ戦(チャンピオンズリーグ第3節)も、考えてもいなかったし、なにが必要なのかを検討したとは思えない内容だった。
レスター戦で4失点を喫した反省なのか、先発からポール・ポグバを外し、フレッジを起用したが、前半で2点を先行されている。例によって守備の強度が足りず、セットプレーでも脆い。
また、攻撃も自陣でボールをまわしているだけ……。本拠オールド・トラッフォードからブーイングが聞こえてくる。ハンス・ハテブール、ロビン・ゴセンス、ラファエウ・トロイ、ベラト・ジムシティといった主力DFを欠くアタランタを相手に、消極的すぎるパフォーマンスに終始したのだから、地元サポーターが不満を表わしたのは当然だ。
後半、ユナイテッドは突如としてギアが入り、マーカス・ラシュフォード、ハリー・マクガイア、クリスチャーノ・ロナウドのゴールで逆転勝利を収めたものの、前述したアタランタの現状を踏まえれば妥当であり、むしろ前半を、いやいや、試合全体を恥じた方がいい。
3ゴールも、個人の力や相手のミスによって得られたものばかりだ。依然として型がない。攻撃は選手の即興性に負うところが大きいとはいえ、スールシャール体制下のユナイテッドは、連携が絶望的なまでに乏しすぎる。
おそらく、チームとしての基本コンセプトが確立されてないのだ。ブルーノ・フェルナンデスがプレスをかけても周りが無反応、というケースがしばしば見られる。前線にエディンソン・カバーニがいれば狡猾、なお献身的な動きで相手のビルドアップを抑制するが、C・ロナウドにラシュフォード、メイソン・グリーンウッドは攻→守の切り替えが疎かだ。
中盤センターと最終ラインも立ち位置を変えたないため、全体が間延びする。
また、アタランタ戦でもGKダビド・デヘアが二度のビッグセーブで救ったように、危険なゾーンからフリーのシュートを許すことも非常に多い。ボールホルダーに寄せすぎたり、サイドを開けすぎたり、もう滅茶苦茶である。
「サポーターの後押しは素晴らしかった」
「必ず逆転できると信じていた。とにかく信じていた」
アタランタ戦終了後のスールシャールは、興奮気味に語っていた。なにかを考えていた内容ではない。
それでも彼は続投する。いまのところ、オーナーのグレイザー家は現体制を支持しており、ユナイテッドの監督というポストに興味津々と伝えられるアントニオ・コンテに接触していない。
しかし、スールシャールのフットボールを、グレイザー家は検討すべきだ。優れた人材を擁しながら、試合内容でマンチェスター・シティ、チェルシー、リヴァプールに大きな後れを取る事実を看過していいはずがない。
スールシャールに任せておくと、傷口は拡がるだけだ。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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