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サッカー フットサル コラム 2021年9月22日

目指せ「W杯史上最高の下剋上!」ブルーノ・ジャパン、ラウンド16の相手は王国ブラジル〈FIFA フットサル ワールドカップ リトアニア 2021〉

サッカーニュース by 河合 拓
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フットサル日本代表

日本とパラグアイの試合、パラグアイは後半13分、サラス兄弟の速攻からエースのFPチョロ・サラスが勝ち越しゴールを挙げる。するとパラグアイのベンチはお祭り騒ぎとなった。ボールポゼッションは日本が62%、パラグアイが38%。シュート数は38対20と、いずれの数字も日本がボールを握れていた。しかし、前後半を4度のファウルに抑え、CKの数で5対3、そして勝利を決めるゴールも2-1としたパラグアイに、試合巧者ぶりを見せつけられた。

パラグアイが歓喜した理由。それは単純にグループ2位になることができたからではない。ワイルドカードである3位での決勝トーナメントに進出となると、会場はヴィリニュスからカウナスへ移動となり、疲労回復などの準備期間が半日は削られてしまう。だが、それ以上に「オレたちは前回大会でベスト4まであと一歩だった。今回は絶対にそれを達成する」(チョロ・サラス)という目標を達成する可能性を高めることができたことが大きいだろう。

試合前に決まっていたのは、グループEの2位で決勝トーナメントに進出した場合、前回大会王者のアルゼンチンか、前回大会3位のイランの勝者とすることが決まっていた。一方、ワイルドカードで決勝ラウンドに進出した場合、ラウンド16の対戦相手はブラジルだった。

ブラジル。過去8度開催されたフットサルW杯で、5度の優勝を誇る彼らは、今大会の優勝候補筆頭だ。前回優勝と前回3位との対戦を免れたパラグアイが歓喜するのも、無理がないほどのスタープレーヤー揃いのチームだ。彼らは1次ラウンドでも圧倒的な力を見せ、チェコやブラジルと同組だったグループDを3連勝、得点18失点2という隙のない戦いぶりを見せ、日本とパラグアイの試合前日に行われた第3節のパナマ戦(5-1)を消化試合にしていた。

今回のブラジルは、とにかく強い。前回大会のラウンド16でイランにPK負けを喫し、大会連覇が途切れたブラジルは、守備の要でありキャプテンのFPロドリゴが「今大会に優勝することができるなら、僕は何でも捧げる覚悟がある」と語るほど、今大会の優勝を切望している。フットサル史上最高のアイドルであるFPファルカンが現役を引退。彼がいることで多額のスポンサーを得ていたブラジルフットサル連盟(CBFS)だが、それにより収入が減り、今回からはブラジルサッカー協会(CBF)がバックアップをすることとなった。

これにより恩恵を受けたのが代表チームだ。彼らはテレゾポリスにあるCBFが管轄する「グランジャ・コマリー」でトレーニングをすることが可能となり、入念なフィジカルトレーニングを行った後、連携をチェック。その後、親善試合をこなして、本大会に乗り込んでいる。史上最高の選手がいなくなったことで、史上最高の環境でトレーニングを積めたのだ。

注目選手は何と言っても、ここまで大会6ゴールを挙げ、得点ランクトップに立つFPフェラオだ。初戦のベトナム戦(9-1)では、14本のシュートを放ち、そのうち6本を枠に入れ、4得点を記録。続くチェコ戦(4-0)でも、堅守を誇る相手に7本のシュートを放ち、枠内にとんだ2つのシュートから、先制点を含む2つのゴールを決め、初戦に続きロドリゴのゴールもアシストした。格下のパナマ戦(5-1)では不発だったが、シュート数4、枠内シュート1というデータを見ても、調整の色合いが濃かったことが分かるだろう。

星 龍太選手

これまで日本はフットサルW杯で、2008年のブラジル大会(1-12)、2012年のタイ大会(1-4)と直近の出場した過去2大会でも1次ラウンドで対戦し、敗れている。それどころか、通算成績でも過去16戦で1分け15敗という結果だ。よく「10回戦って、1回勝てる相手」という表現がされるが、10回戦っても1回も勝てていない相手なのだ。

万全の状態で日本戦を迎えるブラジルは、ラウンド16突破にかつてない意気込みを持って臨む。21日の公式練習の最後には、キャプテンのロドリゴが熱っぽく約3分に渡って、チーム全体に激しく、その熱を伝えていた。そもそも、チェコとの試合で3点リードの時点でタイムアウトを取り、「チームに緩みが出ているぞ」と檄を飛ばしたマルキーニョス・シャビエル監督が率いるチームは、過去の対戦成績など関係なく、日本を叩きに来るだろう。

間違いなく難しい試合になる一戦だが、1次ラウンドでスペイン、決勝トーナメントでブラジルという世界の2強と戦えるのも、W杯ならでは。試合直後、ブラジルとの対戦が確定した認識のなかったブルーノ監督だが、「本当に歴史を変えることをやりたい、という目標を掲げてやってきたところからすると、ただの強敵ではなく、巨大な相手です。こういう相手に勝ち切らないと、歴史は変えられません。そこを目指して戦っていくだけ」と、この試合でも必勝を期す。もし勝てば、W杯史最大の下剋上となるだろう。

文:河合 拓

★「FIFA フットサル ワールドカップ リトアニア 2021」
9/12(日)~10/3(日) J SPORTSで日本戦&決勝トーナメントの全試合生中継。
J SPORTSオンデマンドでは全52試合LIVE配信

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河合 拓

1980年生まれ、出身地のない転勤族。
フットサル情報サイト「Futsal X」発起人。大学在学中の2002年よりフットサルの取材を開始。フットサル専門誌、サッカー専門誌の編集者を経てフリーランスに。
民間大会からワールドカップまで、幅広く取材。個サルで減量を試みる。

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