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ボールポゼッションは明らかに横浜FMの方が上だったし、両サイドバックが鹿島陣内深くまで攻め込む場面が多かったから、一見すると横浜FMが狙い通りに攻めているようにも見えた。
だが、実際には横浜FMのサイドバックは鹿島の守備陣に引っ張り込まれてしまっていたのだ。
本来は早いタイミングでアーリークロスを入れるのが狙いだったのに、クロスを入れるコースを鹿島のMFやDFにしっかりと切られてしまったので、横浜FMのサイドバックは鹿島陣内深くまで進入していった。だが、そうするとクロスを入れるタイミングが遅くなってしまうし、鹿島のサイドバックとサイドハーフが協力して横浜FMのサイドバックを抑えることができるのだ。横浜FMのサイドバックがなんとか、この守備をかいくぐってクロスを入れても、中央は鹿島のセンターバックとボランチでしっかりとケアさている。
こうして、相手にボールを持たせ、そしてかなり意識的に相手のサイドバックを自陣深くまで引っ張り込んで鹿島は割り切って守備に徹した。
そして、繰り出したカウンター攻撃が炸裂する。この試合で横浜FMはシュートを7本しか撃てなかったのだが、鹿島もシュートはたったの3本。それで2ゴールを決めてしまったのだ。
2点とも、右サイドから(横浜FMから見て左サイド)の攻撃だった。とくに2点目のゴールはこの日の試合を象徴するようなゴールだった。
つまり、横浜FMのサイドバックの和田が深い位置から入れたクロスを中央で鹿島のMF三竿健斗がカットし、そのボールをMFのディエゴ・ピトゥカがドリブルで運んだ。つまり、和田が攻めあがった後のスペースを狙った形だった。そして、最後はピトゥカが出したパスを右に開いていた上田綺世が受けて、ワンタッチでGKをかわして決めた美しいゴールだった。
ポゼッションにはこだわらず、しっかりした守備から入ってしっかり試合に勝つ……。これこそが、鹿島の戦いだ。そして、この日の鹿島の勝利はこれから横浜FMと戦うチームにとっても大きなヒントとなったのではないだろうか。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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