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サッカー フットサル コラム 2021年8月12日

静岡学園高校のリズムを刻む“精密時計”。玄理吾はサッカーの楽しさを自らのプレーで体現していく【NEXT TEENS FILE.|高円宮杯】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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玄理吾

とにかく正確に、しかも、とにかく楽しげに、攻撃のリズムを刻んでいくそのプレーは、テクニックにこだわりを持つような名手が居並ぶ“ガクエン”の中でも、異彩を放っている。「常にボールをなくさずに攻め続けて、相手陣地だけでサッカーをするようなスタイルが静岡学園だと思います。ボールを失った時の攻守の切り替えの早さには常に課題があるので、そこがしっかりできればもっと完成度が高くなって。理想のスタイルに近付いていくと考えています」。静岡学園高校の攻撃のリズムを刻む”精密時計”。磨き続けてきた揺るがぬ技術をひっさげ、玄理吾が全国の舞台で躍動する時が迫っている。

高円宮杯プレミアリーグEASTでも首位を快走し続けるなど、今年の高校サッカー界を牽引している青森山田高校。そのモンスターチームに、3月の時之栖チャレンジカップで4-3という壮絶な打ち合いの末に勝利を収めた静岡学園は、今回のインターハイでも当然のように優勝候補の一角に名前が挙がっている。

タレントも豊富に揃っている。プリンスリーグ東海で得点ランクトップを走るFW持山匡佑。ドリブルの切れ味は同校でも歴代屈指と川口修監督も認めるMF古川陽介。年代別代表にも招集されている189センチの技巧派CB伊東進之輔。ただ、個性派が集うグループでチームメイトからも「あんなに“テクれる”なんて、サッカーがメッチャ楽しいと思いますよ」と一目置かれているのが、中盤で違いを生み出していく玄だ。

派手なプレーを繰り出すわけではない。「常に周りを見ることは意識しています」と語ったように、周囲との連携の中で生きていく選手であることも間違いないが、いわゆる“止める、蹴る”の正確さは衝撃的。インサイドキックで刻んでいくショートパス。確実にトラップでボールを足元に収めてからのターン。スペースを見つけた時にグサリと打ち込むスルーパス。参考にしている選手は、チェルシーに所属するイタリア代表のジョルジーニョと言うだけあって、そのすべてが『サッカーの上手いヤツ』のそれである。

中学生時代は兵庫県のFCリブレでプレー。そのクラブで指導を仰いだ静岡学園出身の監督の影響で、全国指折りの強豪校の門を叩いたが、1年時のチームは結果的に高校選手権で全国制覇を成し遂げるほどの強さと上手さを誇っており、「リブレの監督からどういうサッカーをするかは聞いていたので、自分に合っているかなと思っていたんですけど、周りの上手さにビックリしました」と入学当初を振り返る。

2年時の昨年はAチームにこそ入っていたものの、レギュラー奪取には至らず。静岡制覇を達成した今年の新人戦からボランチの定位置を掴み、時にはワンボランチやドイスボランチの一角で起用されつつ、「守備でも攻撃でも運動量を多くしてやっていかないとダメだなと思いますし、課題の守備の面でもどんどんアピールしていこうというイメージで臨んでいました」と守備意識の向上に取り組むことで、チームの中で不動の地位を築いていった。

ある意味で例年以上に“ガクエン”らしい今年のチームに対しても、指揮官は「やっぱり常に攻撃を意識したスタイルなので、ボールを相手よりも握る、相手よりもゲームをコントロールして、我々がしっかり相手もコントロールするサッカー、そういうところは伝統ですね」とブレない姿勢を強調する。その中で玄が果たすべき役割も、もちろん決して小さくない。

「このチームでプレーするのは本当に楽しいです」。言い切った言葉に、仲間への信頼と自信が滲む。公式戦は新チームになって、いまだ負け知らず。文字通り、玄が中盤で舵を取る静岡学園の無敗記録が、このインターハイでさらに6試合分更新され、真夏の王座に就く可能性は決して低くない。

文 土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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