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サッカー フットサル コラム 2021年7月8日

縮まりつつあるトップチームとの“距離感”。クラブ一体で取り組む育成と強化【高円宮杯プレミアリーグWEST 京都サンガF.C.U-18×名古屋グランパスU-18レビュー】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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チームのキャプテンを務める遠山悠希が、力強く口にした言葉が印象的だっだ。「ゴールのような目に見える結果を残して、颯太くんやその他のボランチの、トップの人たちと張り合っていきたいなとは自分でも意識しながらプレーしています。隣でやっていた人ができて、自分にできない訳はないと思いたいですし、できると自分では信じているので、追い付け追い越せでやっていきたいと思います」。基準はアカデミーで共にプレーし、今はトップチームで活躍する“先輩”たち。京都サンガF.C.の育成と強化の両輪は、興味深い形で噛み合い始めている。

京都U-18と名古屋U-18。ピッチ上でお互いの意地がぶつかり合う

開幕から4戦未勝利で迎えた、高円宮杯プレミアリーグWEST第9節。対照的にここまで4戦無敗の名古屋グランパスU-18とホームで戦った一戦は、白熱の90分。常に先行される展開の中でも、平賀大空が、小山真生がファインゴールを沈めて、京都サンガF.C.U-18は粘り強く追い付いてみせる。

だが、85分にPKを献上し、これが名古屋U-18の決勝点。2-3で競り負け、またもや初勝利を挙げることは叶わなかった。「我々が圧倒された試合は1つもなくて、今日もセットプレーで3点やられてはいるんですけど、本当に前向きな姿勢で、トップチームと同じようにインテンシティ高くプレスを掛けたり、前へ走ったりという姿勢が見えたのは凄く良かったと思います」と言い切ったのは志垣良監督。確かに白星のないチームとは信じ難いような、気迫と技術はピッチに満ちていた。

遠山は現状を冷静に見つめている。「あと少しの所を突き詰めていけるようになったら、勝ちという結果に繋がっていくのかなと思います。気持ち的な部分なのか、プレー的な部分なのか、『あと、もう少し』というのは感じています」。おそらく彼が感じているような “あと少し”を見事に補完し、堂々たる結果を示しているのが、京都のトップチームではないだろうか。

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2シーズン連続でJ2の8位。J1昇格に手が届かなかった経緯を受け、今シーズンからはチョウ・キジェ監督を招聘すると、長澤徹コーチ、杉山弘一コーチというJリーグ監督経験者とのタッグががっちり噛み合い、前半戦終了時点のリーグ戦で昇格圏内の2位と、上々の成果を残している。

若きアカデミー出身者が存在感を発揮していることも見逃せない。守護神の若原智哉。ディフェンスの中心に成長した麻田将吾。中盤で攻守に躍動する福岡慎平。そして、ここまで全試合に出場し、中盤アンカーの位置からチーム全体を掌握する川崎颯太に至っては、2年前までU-18でプレーしていた選手。実際にドイスボランチを組んでいた遠山は、その存在をこう語る。

「自分が1年の時に隣でやっていた人が、あれだけトップで活躍できて、点も決めていて、刺激というか、もう尊敬しかないですね。『尊敬している選手は誰ですか?』と聞かれたら、もう颯太くんっていつも答えています。でも、尊敬で終わるのではなくて、自分もそこに追い付かないといけないし、それを追い越すぐらいのレベルにならないといけないというのは自分でも思っています」。

「今はトップと近い距離感でやれていて、練習参加もさせてもらえますし、トップのチョウさんやコーチが我々の練習を見に来てくれたり、声を掛けてくれたりと、本当に恵まれた環境ですね」と話す志垣監督は、選手に対しても明確な意識づけを促している。

「そういう環境の中で常にけしかけているのは、例えば遠山には『川崎颯太はもう憧れの存在ではないよ。彼はライバルだよ』と。先週GPSを付けて試合をした時に、川崎颯太が最近12キロから12.5キロ走っている中で、遠山が確か11.8キロだったので『まだ足りないね』と。FWの勝島新之助にしても『オマエのライバルはピーター・ウタカだぞ』と。『あそこからどうポジションを取るか、考えながらプレーしなきゃダメだ』と。もちろんウタカにはウタカの良さがありますし、勝島には勝島の良さがありますけど、そういう投げ掛けも、トップが近い存在になったからこそできることだとは思いますね」。

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京都サンガには確固たる育成の歴史がある。現在、U-18のコーチを務めている小原昇は、チームが2001年にJユースカップで初めて日本一を獲った時のストライカー。完全復活を遂げつつある宮吉拓実や久保裕也は、高校卒業を待たずにトップチームへと昇格していった。その伝統がある意味で“外的要因”をさらなる追い風に、新たな形で積み上がる予兆を見せているのも、非常に面白い。

「これからトップに上がれるか上がれないかが懸かってくる時期なので、トップの練習や練習試合にも行きたいですし、自分のプレースタイルや特徴を出して、チョウさんとかトップのスタッフの人に認めてもらって、まずはサンガのトップに上がるというのが目標です」。今後の目標を問われた遠山が、『チョウ監督』ではなく、『チョウさん』と口にしたあたりに、今のU-18とトップチームの距離感が滲む。彼らの“あと少し”がどういう形で埋まっていくのか、楽しみは尽きない。

文 土屋雅史

高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2021 第9節

【ハイライト】京都サンガF.C. U-18 vs. 名古屋グランパスU-18|高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2021 第9節

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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