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サッカー フットサル コラム 2021年5月27日

青森山田が掲げる『1本中の1本』。それはウォーミングアップから貫かれていた【高円宮杯プレミアリーグEAST 清水エスパルスユース×青森山田高校レビュー】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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青森山田高校

清水エスパルスユースとの全勝対決を制し、開幕7連勝というプレミアリーグEAST新記録を達成した青森山田高校。豪快な左足ボレーで決勝ゴールを叩き出した藤森颯太は、その貴重な一撃を振り返ってこう口にした。「『1本中の1本』って山田では言われているので、そこはこだわった1本でしたね」。青森山田の選手たちが揃って口にする『1本中の1本』。その言葉にこそ、彼らがここまでの圧倒的な結果を残している理由がある。

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プレミア開幕戦の浦和レッズユース戦。アウェイで4-0と快勝を収めた試合後、素晴らしい2ゴールをマークし、チームに勝利をもたらしたストライカーの渡邊星来は、自身の得点を喜びながらも、その後に意外な言葉を紡ぐ。

「ハットトリック、行けましたね。1本ナス(名須川真光)がヘディングしたこぼれをクロスバーに当ててしまったんですけど、そこがまだ自分の課題だと思います。『1本中の1本』という言葉が青森山田にはあって、自分でもまだこだわれていないですし、もう今日は終わったことなので、明日からまた『1本中の1本』にこだわっていけるように、努力していきたいです」。

確かに渡邊にはハットトリックのチャンスがあった。ただ、もうそれは点差が4点に開いていた後半のこと。青森からの長距離移動もあり、開幕戦という独特の緊張感の中でこれだけのゲームをできれば、普通の高校生は大いに満足して帰路に着くことだろう。それでも、普段から笑顔を絶やさないムードメーカーのストライカーが、そう言って気を引き締めた表情が強く印象に残った。

プレミア第4節の横浜F・マリノスユース戦。リーグ戦4試合目にしてオウンゴールによる初失点こそ喫したものの、4-1と力の差を見せ付けての勝利で、開幕から無傷の4連勝を達成した青森山田。だが、ディフェンスリーダーの三輪椋平は、この試合を前に指揮官から喝が入ったことを神妙な面持ちで語る。

【ハイライト】清水エスパルスユース vs. 青森山田高校

【ハイライト】清水エスパルスユース vs. 青森山田高校|高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2021 EAST 第7節

「今週の練習の中で過信というか、『3連勝したので、できている』と思っていた自分たちがいて、監督からも結構厳しく言われたこともあって、それから自分たちも勘違いせずに、『1試合、1試合、本当に目の前の試合を100パーセントで戦おう」という準備をしてきました」。さらに少し具体的な内容を問うと、三輪は丁寧に振り返る。

「セットプレーを山田は武器にしている中で、そのセットプレーの確認の時に『1本中の1本』という山田のコンセプトを全員が体現していないという話を監督からされて、練習がすべてなのに、練習から100パーセントでやれなかったら、試合で結果が出る訳がないということを厳しく言われました」。

黒田剛監督が、その真意を明かす。「失点ゼロで行っていると、何となく経験の中から、アップダウンの所とか、カバーとか修正の所とか少しずつルーズになってくるものだから、そこをもう1回きちんと初心に戻ってやろうよと。ワンプレーとか、10センチとか、最後の何秒といった所は、ウチが一番こだわっている所だから、そこで足が出るかどうか、戻れるか、5メートル寄せられるかという所が勝負の明暗を分ける所もあるし、そこは練習からかなり厳しく言っていますね」。

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『1本中の1本』というコンセプトは、それこそゴールを奪う部分だけにとどまらない。1本のシュート。1本のクリア。1本のセーブ。1本のブロック。まさに「勝負の神様は細部に宿る」を地で行くようなそのメンタリティは、青森山田が青森山田であるために最もこだわっている部分でもある。

前述の清水ユース戦。試合前のウォーミングアップから、青森山田の選手たちには良い意味での緊張感が漲っていた。キャプテンの松木玖生が、名須川が、渡邊が、藤森が、1本1本のシュートを丁寧に、力強く重ねていく。センターバックの丸山大和と三輪は、1本1本のヘディングに気合を注入していく。もちろん首位攻防戦というシチュエーションではありながら、そのウォーミングアップはある意味でいつも通り。試合前から『1本中の1本』にこだわる姿勢は、既にグラウンドの上で眩く貫かれていた。

開幕7連勝を飾った清水ユースとの試合後、新記録達成について尋ねられた松木は、こう答えている。「監督から資料を戴いた時に、(プレミアWESTでは)サンフレッチェ広島が8連勝ということを知ったので、自分たちはまだまだなにも成し遂げていないですし、7連勝は嬉しいですけど、これが青森山田のベースかなと思っています」。

果たして2021年の青森山田が携える“ベース”はどこまでその基準を上げていくのか、今からとにかく楽しみだ。

文 土屋雅史

【全4得点振り返り!】清水エスパルスユース vs. 青森山田高校

高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2021 EAST 第7節

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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