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サッカー フットサル コラム 2021年2月18日

新シーズンの注目は川崎の連覇。スーパーカップでG大阪はどのように川崎を封じるのか?

後藤健生コラム by 後藤 健生
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川崎フロンターレは、昨年は圧倒的な強さでJ1リーグを制覇した。

34試合を戦って26勝5分3敗。総得点は「88」に達した。つまり、1試合平均で「3」に近い数字だ。2位に付けたガンバ大阪の得点数(46)のほぼ2倍である。2019年に「超攻撃的」なサッカーでJ1を制覇した横浜F・マリノスの総得点が「68」だったのだから、「88」という数字がどれほどのものかが分かる(ちなみみ、2020年シーズンの総得点数2位も横浜FMで、「69」得点と一昨年とほぼ同じだった)。

そして、攻撃的なチームは(それこそ、横浜FMのように)守備に弱点があることが多いのだが、昨年の川崎は総失点数も名古屋グランパスの「29」について2番目に少ない「32」だった。前線から激しいプレッシャーをかける川崎の守備は見事なものだった。

昨年の川崎は、他のクラブに比べて有利な条件がそろっていた。

たとえば、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって再開後のJリーグが過去に例を見ないような超過密日程になったこと。どのチームも選手の消耗が激しくなったが、「人よりもボールが動く」という川崎のプレースタイルは間違いなく有利に働いていた。そして、川崎の選手層の厚さも過密日程を乗り切るために有利に働いたのだ。さらに、鬼木達監督はその豊富な選手層を生かして、「5人交代制」をうまく利用した。

だが、2021年シーズンは日程は例年通りに戻るので、川崎有利のファクターが少なくなることは間違いない。しかも、今シーズンの川崎にはACLを戦うことで負担も増える。

このように考えていくと、川崎が昨シーズンほどの圧倒的な成績を残すことは難しいだろう。

だが、それでも僕は川崎の優勝を予想する。

まず、川崎の持つ「選手層の厚さ」。それは、どんな日程であったとしても絶対的に有利な条件である。今年のJ1リーグは例年のように34節ではなく、第38節までの長丁場となる。そして、春秋制を採用している以上、真夏の酷暑を乗り切る必要がある。川崎のプレースタイルや選手層の厚さはやはり大きなアドバンテージとなるはずだ。そして、今シーズンも「5人交代制」は継続される。

最大の懸念材料はACLの負担だが、その意味でも選手層が厚い川崎だからこそ、乗り切ることは可能なのではないだろうか。

パンデミックがいまだに収まっていないため、今年のACLのグループステージは例年のようなホーム&アウェー方式ではなく、4月後半から5月にかけてセントラル方式で行われることが決まっているが(開催地は未定)、例年のようなホーム&アウェー方式に比べれば、参加チームにとっての負担は小さいのではないか。

ホーム&アウェー方式であれば、グループステージの間に3度の海外遠征が必要になる。毎週末のリーグ戦を戦いながら、ミッドウィークに気候も違う海外に遠征を繰り返すのはかなり大きな負担となる。だが、セントラル方式なら4月から5月に全試合を終わらせてしまえるので、海外遠征を繰り返す必要がなくなる。

もちろん、ACL出場チームはその間のゲームを他の時期に消化しなければならないので日程は厳しくなる。つまり、ミッドウィーク開催が増えて連戦が多くなるのだ。しかし、国内遠征であれば海外遠征に比べて負担は少なく、YBCルヴァンカップに出場するクラブと比べても負担はそれほど大きくないはずだ。

ACLのグループステージが開催される時期とその前後をうまく乗り切れば、大きな影響は受けないのではないだろうか。

川崎では守備的MFの守田英正が海外移籍を選択し、レジェンドの中村憲剛が引退した。だが、それ以外の主力選手は残留し、守田の代わりにはJリーグ経験者であるジョアン・シミッチが入ったので、戦力の大幅ダウンはないだろう。

三笘薫や旗手玲央、田中碧といった若手の成長も考えれば、川崎は昨年並みもしくはそれ以上の戦力を持つと言っていい。

ただ、Jリーグというリーグは、相手のことを研究して相手の良さを消すような“戦術的サッカー”を仕掛けてくるチームが多い。だからこそ、Jリーグでの「連覇」は非常に難しいことなのだ。

たとえば、一昨年優勝の横浜FMは昨年は9位と低迷してしまった。そこには、ACLの負担とか、負傷者が続出したこといったような外部的な要因も多かったが、同時に対戦相手が横浜FMの弱点を研究して、そこを衝いてきたということもあった。

つまり、両サイドバックがセントラルMF的にプレーして、時には同時にバイタルエリア付近まで攻め上がるのが横浜FMのサッカーだが、当然、サイドバックが上がった裏のスペースをうまく狙われると、センターバックが引き出されてしまうなど、守備に綻びが生じる。そこを狙われたことで、横浜FMの失点は2019年の「38」から2020年には「59」まで増えたのだ。

今シーズンも、各チームの監督は「打倒川崎」のために秘策を用意してくることだろう。

その意味で注目されるのが2月20日に埼玉スタジアムで行われる富士ゼロックススーパーカップである。リーグと天皇杯で二冠を達成した川崎に、リーグと天皇杯で準優勝のガンバ大阪が挑む試合だ。

G大阪は昨シーズン、川崎相手に屈辱的な大敗を喫した。

11月25日のJ1リーグ第29節の対戦では0対5というスコアで大敗し、川崎の優勝決定の瞬間を見せつけられてしまったのだ。元日の天皇杯決勝はスコア的には0対1の接戦だったが、川崎に27本ものシュートを撃たれており、試合としては「完敗」だった。

西日本を代表する強豪であり、今シーズンの優勝も狙うG大阪としては、そんな試合を繰り返すわけにはいかない。戦術家を自負する宮本恒靖監督にとってもプライドが懸かる試合であろう。本来であれば、本番のリーグ戦を前に手の内を見せたくない試合かもしれないが、今年の富士ゼロックススーパーカップではG大阪は「ストップ・カワサキ」に全力を挙げてくることだろう。

後方のスペースを消して守るのか、それとも前からプレッシャーをかけるのか。おそらく、それを時間帯によって使い分けてくるのだろうが、G大阪の戦い方には興味が集まる。G大阪には、昨年の開幕節で前年優勝の横浜FMの攻撃を封じ込めて勝利し、横浜FM凋落のきっかけを作ったという実績もある。

もし、富士ゼロックススーパーカップでG大阪が川崎封じに成功すれば、それは他のクラブの監督にとっても重要なヒントとなることだろう。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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