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サッカー フットサル コラム 2020年10月9日

ホーム3連敗と苦しむ浦和レッズ。今は個人能力を生かして戦うしかないのでは……

後藤健生コラム by 後藤 健生
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浦和レッズが苦しんでいる。9月26日の横浜FC戦(J1第19節、0−1)、同30日のFC東京戦(同29節、0−2)、そして10月4日名古屋グランパス戦(同20節、0−1)と3試合連続でホーム埼玉スタジアム2002で戦ったものの3連敗。しかも、3戦連続して無得点での敗戦となってしまったのだ。

その前のホームゲームだった第17節の川崎フロンターレ戦(0−3)も含めれば、ホーム4連敗ということになる(第18節はアウェーで清水エスパルスを2対1で破っている)。

僕は、たまたまこのホーム4連戦をすべて生観戦した。「たまたま」というより、しばらく浦和の試合を見ていなかったので3試合連続で埼スタまで足を運んだのだった。

首位を独走する川崎との第17節の試合を除けば、3試合とも接戦と言えば接戦だった。

シュート数を比べてみよう。横浜FC戦では浦和が9本で横浜FCが7本。FC東京戦では浦和の11本対FC東京の8本。名古屋戦では浦和が5本で名古屋が8本とシュート数で下回ったが、CKの数では浦和が勝っていた。

どの試合でも、浦和がボールを保持する時間は長かったし、相手陣内深くまでボールを持ち込み、ゴール前にボールを入れる回数も多かった。おそらく、見ているサポーターにとっては“完敗感”はなかったことだろう。

「どうして、シュートが入らないのか」、「カウンターでやられた」そんな印象を受ける試合だったかもしれない。

もちろん、サッカーというのは理不尽なスポーツで、ボールを持って攻めているのに入らない時には入らない。そして、逆にたった1回のチャンスでゴールが決まってしまうことがある。たとえば、YBCルヴァンカップ準決勝では、川崎の猛攻を浴びながらFC東京が耐えに耐えて、セットプレーとカウンターで2点をもぎ取って川崎を破った。

では、浦和のホームでの連敗もそのように捉えていいのだろうか?

1試合だけなら、そう考えることもできる。だが、いくらサッカーが運に左右されるスポーツだったとしても、そんな不運による敗戦が3試合も続くわけもない。

実際、この連敗中の試合内容は「たまたま」とか「不運な」と考えてはいけないものだった。敗因はしっかりと見つめなければならないだろう。「不運による敗戦」と解釈するのは危険なことだ。

「誤解」を生む原因はボールが相手ゴールに近づく場面が多いからだ。だが、ホーム3連戦では得点が一度も生まれなかっただけでなく、本当に惜しい決定機の数も多くはなかった。

攻めてはいる。相手ゴールに近づいてはいる。だが、浦和の選手がフリーになって、あるいはしっかりとゴールを狙って撃てたシュートがいったい何本あったのだろう?

たしかに、パスはつながっている。だが、パスがつながっているのは、選手の個人能力が相対的に高いからでしかない。

浦和の選手のほとんどが各カテゴリーの日本代表経験者だ。当然、個人能力は高い。だから、相手との競り合い(デュエル)で勝つ確率は高い。無理なパスでも相手と競り合いながらなんとかキープできるから、形としてはパスはつながっているし、ボールは相手ゴールの方向に進んでいる。

だが、パスがつながることによって、パスを受けた選手が有利な態勢で、相手ゴールに向かって進めるようになっているかというとそうではない。“ただパスがつながっているだけ”なのだ。

今シーズン絶好調の川崎などを見ていると、パスを受けた選手は必ず前を(相手ゴールの方向を)向いて、フリーな状態でパスを受けている。従って、パスがつながればつながるほどより楽な態勢でボールを持てるようになっていくのだ。そして、最後はゴール前で狙ってシュートを撃てる態勢でパスがつながる。

だが、今の浦和はパスがつながっても、受けた選手は苦しい態勢でボールをもつことになり、すぐ次のプレーにつながらない。そして、最終的にはパスの出しどころがなくなって、バックパスでボールを戻すか、無理な態勢からシュートを狙うしかなくなってしまう。

ホーム3連敗は「由々しき事態」と言わざるを得ない。Jリーグでも最大の観客動員数を誇る浦和は、つねにJリーグの人気を牽引していってもらわなければならないクラブなのだ。

本来なら、ボールの奪い方、ボールの進め方など、基本的なところからチームを作り直していかなければならないのかもしれないが、リーグ戦の日程は待ってはくれない。とくに、今シーズンは日本代表の活動による中断もなく、最終節まで連戦が続く。

そんな中で浦和レッズが立て直すとしたら、やはり選手の個人能力を生かして戦うしかないだろう。柏木陽介のパス回しとか、槙野智章や橋岡大樹の身体能力とか、武藤雄樹の献身的な動きとか、それぞれの良さを発揮して打開するしかない。

特に期待したいのは興梠慎三の得点能力だ。元々、波のある選手だから“波”をつかみさえすれば得点を量産できるはずだ。今は、チームの不調の責任を過剰に感じすぎているのではないか。もちろん、そうした真面目さこそが興梠の魅力なのではあるが、あらゆる仕事をこなそうと頑張りすぎている。中盤に下りて、パス回しに加わってくれるのは、ボールを前に進めるためにとても役に立っているのだが、しかし、興梠にはトップに張ってゴールを決めることに集中してほしい。どんな形でも点を取ることこそが興梠自身の復調への最良の薬となるだろうし、またチームへの貢献にもなる。

あれだけの選手たちが集団的に戦う力を付ければ、もちろん優勝を狙えるチームになってもおかしくはないが、今はそんなことより、それぞれの個人能力に自信を持ってエゴイスティックに戦うしかないように思えるのだが……

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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