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サッカー フットサル コラム 2020年10月5日

遠征が終ったら森保監督は帰国するの? 現地で視察を続けた方が有意義でだろう

後藤健生コラム by 後藤 健生
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10月の強化試合に臨む日本代表の活動が始まる。

2020年に入ってから、日本代表は新型コロナウイルス感染症の拡大によって活動できない状態が続いていたが、ようやく活動再開に漕ぎつけたことは朗報である。

しかし、きわめて異例の形での活動再開となってしまった。

まず、代表のトレーニングと試合の舞台が日本国内ではなくなったこと。そして、日本国内でプレーしている選手たちは参加できず、いわゆる「ヨーロッパ組」だけの編成となったことだ。

今年のJ1リーグは新型コロナウイルス感染症の影響で3月から6月末までの長い中断があったため、7月の再開以降は超過密日程で試合を消化してきている。そして、ワールドカップ予選も含めて(延期になってしまったが)代表の活動期間中もJリーグは中断なしに進行することがあらかじめ決まっていた。

しかも、日本人はオランダに入国することはできるが、日本政府は新型コロナウイルス対策として入国者全員に2週間の自主待機を義務付けている。つまり、もしJリーグ所属の選手が代表に招集された場合には、帰国後さらに2週間にわたって試合に出場できなくなるのだ。そのため、Jリーグの選手の招集は回避された。

それにしても、「ヨーロッパ組」だけでもこれだけのメンバーが集められるのだから、日本選手のヨーロッパ進出ぶりには目覚ましいものがある。数年前だったら、ヨーロッパで活躍する日本人選手は特定のポジションに集中していただろうが、今ではGKからDF、FWとあらゆるポジションの選手がそろうのだ。

かつて、日本のサッカーには「守備の文化がない」などと言われていたが、今ではヨーロッパのクラブでコンスタントに試合に出場しているのはむしろDFの方が多くなっており、“守備の国”イタリアのセリエAでも、日本人DFが高く評価されているのだ。

時代というのは、われわれが思っているよりずっと速く進んで行くものなのである。

これだけ「ヨーロッパ組」が多くなってくると、コロナウイルスの問題とは関係なく、代表の活動拠点はヨーロッパに置いた方が合理的だ。

「ヨーロッパ組」にとって、日本までの長距離移動は大きな負担となる。日本に帰国して、そこからさらにアジア各国に遠征するのだから、合計した移動距離は膨大なものとなる。そのため、所属クラブに戻ってもコンディション的な理由から試合に出場できないことが多く、それをきっかけにポジションを失ってしまうリスクも背負っているのだ。

そのことを考えれば、今回のようにヨーロッパでの活動ということになれば、彼らの負担は大幅に軽減される。オランダやベルギー、ドイツでプレーしている選手にとってはまさに国内移動と同じとなる。

これからも、こうした形での活動があっていいのではないか。できれば、ヨーロッパの国とアウェーで対戦できれば最高なのだが、今回のようにアフリカであったり、南米のチームとの対戦は組める。さらに、「代表」に限定しなければ、現地でもリーグ戦は中断しているのだからヨーロッパの強豪クラブと対戦することだって可能だ(もちろん、相手チームは代表選手抜きの構成になるだろうが)。

さらに、もし中東諸国相手のアウェーゲームがあるとすれば、ヨーロッパに拠点を設けて「ヨーロッパ組」を招集して事前トレーニングをするようにすれば、移動はヨーロッパから中東までですむ。ヨーロッパから日本に集合して、それから中東に入るのと比べれば移動距離は小さくなるし、時差もほとんどないので負担ははるかに小さくなる(国内組は直接中東に入って、「ヨーロッパ組」と現地で合流すればいい)。

そういう意味でも、ユトレヒトに拠点を定めての代表の活動には注目したい。

ところで、先にも述べたようにヨーロッパから帰国した場合、2週間の自主待機が義務付けられる。今回の代表の活動でJリーグ所属の選手は遠征しないが、森保一監督をはじめとするスタッフや反町康治技術委員長などは帰国後に待機となってしまうはずだ。その間、森保監督は試合の視察もできなくなるのである。森保監督は本当に遠征終了後に帰国するのだろうか?

「10月にヨーロッパで代表戦がある」と聞いた時、僕自身も一瞬だが「行ってみようか」という気になった。しかし、単なる親善試合だし、帰国後に2週間待機というのはマイナスでしかない。そこで「もし行くのなら、帰国はせずにそのままヨーロッパに滞在して試合を観戦してこようか」とも考えた(そうしているうちに「2週間の待機」という政府の方針が変わるかもしれないし……)。

森保監督などのスタッフも、帰国後に2週間、視察などの活動ができないのだとすれば、何も日本に帰ってくる必要はないだろう。今では日本代表の過半数の選手がヨーロッパのクラブでプレーしているのだ。現地で実際にそのプレーぶりを視察し、本人との面談の時間を作り、さらにクラブの監督とコンタクトを取っておくための絶好の機会となるのではないか。

たとえば、スペインでエイバルのゲームを見に行けば、今回は招集から除外されてしまった乾貴士や久しぶりに出場機会を得て溌溂とした動きを見せている武藤嘉紀のプレーを見ることができる。森保監督が足を運べば、彼らのモチベーションも上がることだろう。

いや、日本人選手とは関係なく、ヨーロッパの強豪クラブの試合を見ておくことにも意味はあるはずだ。

日本サッカー協会は11月の代表ウィークにも代表の活動を計画しているという。11月も、当然国外での活動となるだろう。それなら、森保監督以下のスタッフは、11月の活動まで約1か月にわたってヨーロッパに滞在して、視察を続けるべきではないのだろうか。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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