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サッカー フットサル コラム 2020年3月22日

ワールドカップ予選の延期。日本代表強化スケジュールはどうなる?

後藤健生コラム by 後藤 健生
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日本国内では新型コロナウイルス(Covid−19)の新たな感染者の広がりがいくぶんはスローダウン。一斉休校などの非常措置も近いうちには解除され、またプロ野球やJリーグのような屋外で行われる比較的感染リスクの低いスポーツ・イベントも再開されていくことだろう。リスクがゼロになるのを待つことなく、次第に活動を再開しないことには、経済的なダメージが大きくなりすぎる。

一方で、最近は感染がヨーロッパ大陸で拡大。とくにイタリアでの状況は悪化の一途をたどっており、イタリアでの死者数がすでに中国におけるそれを上回ってしまったという。

2月末にJリーグが中断となり、当初は「それでは」というのでヨーロッパ・サッカーを普段よりも一生懸命観戦していたものだったが、今ではヨーロッパのサッカー界も完全にストップ。イタリアのセリエAをはじめ、各国の国内リーグやチャンピオンズリーグの再開は見通しがまったく立っていない。

さらに、今年の夏に予定されていたヨーロッパ選手権(EURO)とコパアメリカの延期がすでに決まった(どちらも2021年に開催される見通しで、それに伴って2021年にFIFAが計画していた24チーム参加のクラブ・ワールドカップも延期されるらしい)。もし、ヨーロッパ各国の国内リーグなどが再開できれば、本来はEUROが予定されていた6月を使って残りの日程が消化されることになるのであろう。

さて、3月には日本代表のワールドカップ予選(ミャンマー戦、モンゴル戦)と東京オリンピックを目指すU−23代表の強化試合が予定されていたが、当然のことながら日程はすべて延期または中止となった。FIFAとAFCの声明によれば、6月の国際マッチウィークも順延となる公算が強い。

今回のコラムでは、こうした日程の変化が日本代表強化に与える影響について考えてみたい。

ワールドカップ予選の延期は、日本代表にとってはありがたいことだったような気がしている。

3月と6月の試合が延期となれば、最終予選が始まるのがその分遅くなる。幸い、2022年のワールドカップ・カタール大会は通常の6月から7月ではなく、11月に開幕される。従って、予選の日程が多少遅れたとしても、日程の余裕はある。いずれ9月に残った試合を消化させ、10月以降に最終予選といった日程になるのだろう。

これは、日本代表にとってはありがたいことだ。

というのは、最終予選開幕直後について、僕はずっと不安に思っていたからである。

現在、日本代表チームはワールドカップを目指すA代表も、オリンピックを目指すU−23代表も、どちらも森保一監督が強化を進めている。これまでのように2つの代表チームの監督が違い、しかも目指しているサッカーが異なる場合には、オリンピックに出場した選手もすぐにはA代表に合流できず、ワールドカップ出場はオリンピックの次の次の大会まで待たざるを得ないことが多かった。たとえば、本田圭佑や香川真司など2008年の北京オリンピック世代がワールドカップで活躍するのは2014年大会を待たなければならなかった。

しかし、オリンピックというのは23歳以下の大会だから、6年後といえば、選手たちは30歳近い年齢となっている。できれば、オリンピックの2年後にはトップで活躍してほしいのだ。その点、現在は2つの代表はともに森保一監督が指揮を執っているから、オリンピック終了後には何人もの選手がA代表入りうるものと期待される。

だが、8月にオリンピックが終了するとなると、9月の最終予選開幕までにオリンピック世代を繰り込んだ新しい代表を準備する時間がまったくないのだ。その最終予選では、いきなり開幕直後に韓国やイランといった強豪と当たる可能性もある。そうなったら、オリンピック世代を入れて若返ったはいいが、準備不足のA代表が機能せずに黒星スタートとなる恐れがあったのだ。日本は開催国としてオリンピックで上位進出を目指すため、6月以降はオリンピック・チーム優先のスケジュールとせざるを得ないからだ。

しかし、もし最終予選の開幕が遅れ、ミャンマー戦やモンゴル戦、タジキスタン戦やキルギス戦が9月以降に組み込まれたとすれば、格下相手の試合を新しいA代表の準備のために使うことができるのだ。だから、ワールドカップ予選の日程消化の遅れはむしろ日本代表にとってはありがたいことなのではないかと思うのだ。

もっとも、これは東京オリンピックが予定通り7月〜8月に開催された場合の話だ。

純粋に競技面からだけ考えれば、オリンピックは数か月延期して秋に開催するのがベストであろう。ただ、マラソンの札幌開催問題でも明らかになったように、IOC(国際オリンピック委員会)は巨額の放映権料を支払うアメリカのテレビ・ネットワークの意向を受けて、秋口開催には難色を示すだろう。

1年の開催延期、つまり2021年の7月〜8月に開催するという選択肢もあるが、そうなると各競技ですでに内定していたオリンピック代表選手を再選考せざるを得ないし、日本側が負担するコストが膨らんでしまうちう恐れも大きい。

オリンピックが、延期になった場合は、サッカーの代表強化のスケジュールにもまた大きな変更が必要となる。ただ、オリンピックの開催が秋まで延期になった場合には、サッカーの場合はオリンピック代表の準備時間を減らして「ワールドカップ予選優先」に切り換えざるを得ないだろう……。

いずれにしても、これから様々な状況が変わる中で、新しい発想と思い切った決断が必要になる。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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