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サッカー フットサル コラム 2020年2月17日

主力選手も監督も昨シーズンのまま……。上位陣はどこも完成度の高い状態で迎えるJリーグ開幕

後藤健生コラム by 後藤 健生
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2月21日にいよいよJリーグが開幕を迎える。ただし、今シーズンのリーグ戦開幕はかなり異例のスケジュールとなっている。

本来なら「FUJI XEROX SUPER CUP」に続いてキックオフカンファレンスがあり、徐々に機運が盛り上がった中でJ1開幕を迎える。それが主催者側が描いているシナリオなのだろうが、今シーズンは開幕直前の日曜日(16日)に「JリーグYBCルヴァンカップ」の第1節が開催されたのだ。また、昨年のJ1王者の横浜F・マリノスや同2位のFC東京、そして天皇杯優勝のヴィッセル神戸はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の第1節、第2節を消化してからリーグ戦開幕を迎えることとなる。

一斉にキャンプインして一斉にオープン戦が始まり、そしてペナントレース開幕を迎えるというのがプロ野球だが、Jリーグの場合は「五月雨(さみだれ)式開幕」は通常のことだ。とくに今年は東京オリンピックの関係でルヴァンカップ開幕が早まったため、J1の全チームが公式戦を1試合以上戦ってからの開幕ということになったのだ。

盛り上がりに水を差すようなスケジュールではあるが、それによって開幕直後からハイレベルの戦いが期待できるのではないだろうか。

どんな大会でも“開幕戦”は希望とともに不安を抱えて迎えることとなる。キャンプや練習試合を通じていくら準備を積み重ねてきたとしても、やろうとしていることがすべてピッチ上で実現できるはずはない。キャンプ中から準備してきたプレーも、公式戦の激しいプレッシャーの中でどこまで実践できるのか……。

「開幕数試合は“慣らし運転”的な手探り状態になる」というのは、古今東西どこの国でも同じだ。

ただ、今シーズンは各チームともに公式戦を経験してからの開幕となるので、通常のシーズンよりは完成度が高い状態で開幕を迎えることができるはずだ。

「チームの完成度」という意味では、昨年からの継続性を保ったチームが多いこともプラスに働くことだろう。

今年のシーズンオフは「各チームとも弱点を埋めるための手堅く効果的な補強をした」という印象で、話題性の高い大型移籍はなかった。ヴィッセル神戸はダビド・ビジャが引退し、ルーカス・ポドルスキが退団したが、それに代わるようなビッグネームの入団はなかった。

キックオフカンファレンスを巡る報道ではアンドレス・イニエスタと三浦知良のツーショットばかりが目立った。目を引くような大型補強がなかったから、最大の注目選手はやはり間もなく53歳になる三浦カズということにならざるを得なかったのだ。

つまり、どのクラブも昨年のチームをベースに新シーズンを迎えることになる。

たとえば、昨年優勝の横浜F・マリノス。昨シーズン終了直後には「主力選手がかなり抜けるのではないか」といった噂があったし、「アンジェ・ポステコグルー監督もヨーロッパのクラブを目指すのではないか」とも言われていた。だが、横浜は主力のほぼ全員が残留した。

昨年のJ1リーグ上位チームのうち監督が交代したのは3位の鹿島アントラーズだけ。横浜のポステコグルー監督をはじめ、2位のFC東京の長谷川健太監督、4位川崎フロンターレの鬼木達監督も軒並み留任だ。

もちろん、新システムに挑戦しているチームもあるが、システムやフォーメーションが変わっても、監督が変わらない以上スタイルは大きくは変わらないはずだ。つまり、どのチームも昨年までのサッカーを継続するわけだから、開幕時点での完成度はかなり高くなるはず。まして、開幕前に公式戦を経験するのだから、コンディション的にも精神的にも良い状態でリーグ戦開幕を迎えることができる。

実際、試合を見ていても上位チームの完成度はかなり高そうだ。

ACLに挑戦した3チームはどこも最高のスタートだった。

これまでACLに挑戦した日本チームは毎年のように開幕直後に苦戦することが多かった。この時期、オーストラリアのチームはシーズン後半に当たるし、韓国や中国のチームはJリーグとほぼ同時開催だが、チームの仕上がりは日本のチームより早い。そのため、日本のクラブは第1節、第2節では結果を出せない……。それがこれまでのACLだった。

ところが、今年は横浜と神戸が勝利し、東京も敵地でのドローと最高のスタートとなった。とくに横浜と東京はアウェーの韓国での試合で相手を圧倒した。決定力不足のせいで東京は1点しかとれなかったため追いつかれてドローに終わり、横浜も取れたはずの3点目、4点目が生まれず、終盤に追い上げられてしまったが、内容的には完勝だった。神戸もホームで格下のジョホール(マレーシア)との対戦だったが、5対1という圧勝。チームの一体感が増し、またイニエスタも絶好調で他のどの選手も真似できないような素晴らしいアシストを披露した。

さらに、川崎フロンターレはACL出場権を逃してルヴァンカップからのスタートとなったものの、昨シーズンよりプレースピードが上がり、ゴールに直結するプレーで清水エスパルスを圧倒し、5対1での勝利を収めた。昨シーズンはゲームをコントロールしながら追加点が奪えずに追いつかれて勝点2を失うような試合が多かったが、今シーズンは勝ち切るサッカーができそうだ。

監督も主力選手もそのまま残ったことで各チームの完成度が高いこと。そして、リーグ戦開幕前に公式戦を戦ってコンディションが上がっていること。この2つの理由から、今シーズンは開幕直後からハイレベルの試合が期待できそうなのである。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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