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サッカー フットサル コラム 2020年1月27日

タイトルを守った絶対王者、名古屋オーシャンズ。Fリーグ人気の拡大のために必要なものとは……

後藤健生コラム by 後藤 健生
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2019-20年シーズンのFリーグ王者を決めるプレーオフで、“絶対王者”名古屋オーシャンズが優勝を決めた。「3年連続12回目」。過去13回のFリーグでは唯一優勝を逃した2016-17年シーズン以外、全シーズンで優勝を飾ったこととなる。今シーズンもリーグ戦で勝点85を獲得して首位に立った名古屋はプレーオフ決勝でもリーグ戦2位のバサジィ大分を1勝1分で下してタイトルを守った。

名古屋のホームである「武田テバオーシャンアリーナ」で行われたプレーオフ。

第1戦は、開始わずか50秒でペピータが先制ゴールを決めて名古屋が先制する。

大分のキックインのボールを奪って独走ドリブルからのミドルシュートだった。その後も、大分のセットプレーの場面でボールをカットしてのカウンターという同じような形で何度か決定機をつかんだ名古屋。大分のエース、仁部屋和弘のドリブルを封じ、深い位置でボールを奪ってロングカウンターという狙いを明確にし、落ち着いた試合運びで攻守ともに完全にゲームを支配していた。

ただ、「完全な試合運び」だった前半ではあるが、大分の若手GK岩永汰紀の再三の好守もあってなかなか2点目を奪えなかった。伊藤雅範監督の下で組織的な守備を構築して躍進した大分がしっかりと粘ったのだ。

そして、後半に入ると大分が見事に立て直した。25分にはレイチのドリブルを起点に仁部屋が同点ゴール。再び名古屋に勝ち越しを許したものの、大分はレイチのポストプレーから右、左と振って吉田圭吾が決めて再び同点とした。第1戦前半のシュート数は名古屋の19本に対して大分は7本にとどまったが、後半は13本対9本と、数字の上でも後半は大分が善戦したことが明らかだった。

そして、第2戦も立ち上がりはほぼ互角の試合となった。「大分がこのままロースコアゲームを続けていけば、勝負の行方も分からなくなると思われた。

だが、12分15秒に名古屋が先制する。中盤でボールを持ったラファがピヴォのペピートに当てて、ペピートが落としたボールを速いタイミングでシュートを決めたのだ。すると、14分35分にはヴァルチーニョがキックインのボールをすばやく入れて、走り込んだ八木聖人が追加点。さらに、15分13秒にはFKからヴァルチーニョがトゥーキックで直接低い弾道のシュートを決め、名古屋は3分弱の間に3ゴールを奪って勝負を決めてしまった。大分が逆転優勝するには4ゴールが必要となったのだ。

わずかな隙を見逃さず、決める時に一気にゴールを決めたヴァルチーニョをはじめとするブラジル選手たちの勝負所を見極める眼が光った。

その後も、名古屋は焦らずにゲームを進め、セットプレーやパワープレー返しなどで着実に得点を重ね、結局第2戦は7対1という大差の勝負になってしまった。

大分が健闘したからこそ垣間見えた名古屋の勝負強さだった。

かつては、他を寄せ付けない強さを誇った名古屋だが、3シーズン前にシュライカー大阪がタイトルをもぎ取ってからは、名古屋が苦戦する場面も目立つようになった。チーム力の差は、間違いなく縮まってはいるのだろう。だが、今シーズンもやはり名古屋の強さが際立ったシーズンだった。

シュライカー大阪、ペスカドーラ町田、立川・府中アスティックスFCなど、挑戦者の顔ぶれが毎年のように変わる中で、10年以上に渡って圧倒的な強さを維持している名古屋は偉大である。だが、これはリーグ戦としては望ましいことではない。

Fリーグは、毎年のように試合方式などを工夫して試行錯誤を続けているが、観客動員数アップには苦戦しているようだ。このプレーオフでも、第1戦の観客数は1262人、第2戦が1889人。2500人以上を収容するアリーナにはかなりの空席が目立った。

最大の問題点は名古屋という絶体王者が存在し、優勝争いという興味がつなげないことだ。2位以下は混戦で、今シーズンも最後まで接戦を繰り返した3位争い(つまり、プレーオフ圏争い)は熾烈だったが、やはり人気回復のためには優勝争いが白熱しないと難しいだろう。

名古屋相手でも一つひとつの試合では、プレーオフ第1戦の後半から第2戦の前半の大分のように接戦を繰り広げられるチームはある。名古屋に互角に戦える強豪がもう1チーム、できれば2、3チーム現われてくれれば優勝争いが楽しめるようになるのだろうが……。

名古屋に対抗できる強豪チームを作るためにも、また一部のフットサル愛好家だけでなく、一般のサッカーファン、スポーツファンの興味を引き付けるためにも、手っ取り早いのはJリーグクラブの参戦ではないだろうか。Jリーグクラブであれば、名古屋に対抗しうる強化態勢を作るための資金や強化のためのノウハウも持っている。また、Jリーグのサポーターを巻き込むことによって観客も増やすこともできる。

たとえば、女子リーグ(なでしこリーグ)も観客動員に苦労しているが、Jリーグ屈指の観客動員力を持つ浦和レッズの女子部門、浦和レッズレディースの試合では毎試合多くの観客がスタンドを埋める。同様に、たとえば浦和レッズ・フットサルチームが参戦すれば、レッズ・サポーターがアリーナを埋めるのではないか。

さらに、現役Jリーガーや元JリーガーがFリーグでもプレーすれば、サッカーファンもFリーグに関心を向けるはずだ。Fリーグにとって、サッカーファンというのは貴重な資源であるような気がするのだが……。

さて、これはどんなスポーツでもそうだが、新たなファンの開拓のためにはナショナルチームの活躍が不可欠だ。フットサル日本代表は前回の2016年大会ではアジア予選でベトナムによもやの敗戦を喫してワールドカップ出場を逃してしまった。それだけに、今年の9月に開かれるワールドカップ・リトアニア大会出場。そして上位進出を果たしてその実力を示したいところだ。

トルクメニスタンで開かれるアジア予選は、2月後半に迫っている。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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