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チャンピオンズリーグとプレミアリーグにまたがった、マンチェスター・シティとトッテナム・ホットスパーの連戦は素晴らしいスペクタクルだった。2018−19シーズンの最大の記憶として、人々の心に長く残る試合となっていくのであろう。同じ2チームが(もちろん、メンバーは多少入れ替わったが)同じスタジアムで戦っても、一方の試合は壮絶な点の取り合いとなり、次の試合は最少得点の「1対0」というスコアになる。「チームというのは生き物」ということがよく言われるが、試合というものも、また、一つの生き物なのである。
さて、その2連戦の最初の試合では、最後の最後でVARによるドラマが起こった。
「またか!」と思った方も多かっただろう。だが、あそこで誤審が起こって、それによってあの名勝負が決着していたら、後でどんな騒動が起こっていたか。歓喜の瞬間から暗転させられたマンチェスター・シティのサポーターからすれば、がっかりもしただろうし、不満もあっただろうが、ビデオでの確認の後の決定であれば諦めもつくことだろう。僕は、もともと(10年以上前から)ビデオ判定導入論者だったからでもあるが、やはりVARは必要なものだと思う。
複雑なのは、国によって、リーグによって、大会によって、VARが導入されている試合とそうでない試合があることだ。たとえば、同じUEFA主催のカップ戦でも、チャンピオンズリーグではVARが投入されているのに、ヨーロッパリーグではVARが使われていないのだ。
ヨーロッパリーグの準々決勝、フランクフルト対ベンフィカの試合におけるフランクフルトの先制ゴールは明らかなオフサイドの見逃しだった。VARがあったら、即座に取り消されるはずの判定だったが、この大会ではVARが導入されていなかったので、ゴールが認められ、そして、フランクフルトがファーストレグのアウェーゴールを生かして勝ち抜きを決めた。ベンフィカ側からすれば、「なんでこの大会にはVARがないんだ!」ということになる。
もちろん、コストの問題もあるのであらゆる大会にVARを採用するのは不可能なことだ。VARの採用のためにはかなりの大掛かりな機材と数名の専門家を必要とするのだから、下部リーグでこれを実施するのは難しいだろう。
それなら、もっと簡易的なビデオ判定、つまり1台か2台のカメラと1人の審判で行う方式もあっていいのではないか。本格的なVARのようにはいかないにしても、1台のカメラさえあれば、あのフランクフルトのゴールがオフサイドだったことはすぐに分かる。
実際、下部リーグでは第4審判がいない試合も多いし、場合によっては主審1人ですべての判定を行っていることもあるのだから、「簡易VAR」というのがあっても良いように思うのだが……。
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