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サッカー フットサル コラム 2018年12月18日

アンフィールドでマンUを圧倒したリヴァプール。優勝に向けての課題は攻撃をいかにゴールに結びつけるか

後藤健生コラム by 後藤 健生
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イングランド・プレミアリーグ第17節。前節、マンチェスター・シティが敗れたことによって首位に立ったリヴァプールがホームのアンフィールドにマンチェスター・ユナイテッドを迎えて圧勝。首位の座を守るとともに、その攻撃サッカーの力を示した。

さて、リヴァプールはこの後も首位の座を走って、久しぶりのリーグ優勝のタイトルを手にできるのだろうか。

かつて、1970年代から80年代にかけて2人の名将ビル・シャンクリー(1959~74年)とボブ・ペイズリー(1974~83年)によって築き上げられたリヴァプール黄金期のチームは「イングランド最強」の名をほしいままにし、1972/73年シーズンから1989/90年シーズンにかけてフットボール1部で11度の優勝を飾り、ヨーロッパ・チャンピオンズカップでも4度優勝。その後、2005年にもチャンピオンズリーグで優勝している(監督はラファエル・ベニテス。そう、あの「イスタンブールの奇跡」の時である)。

だが、その名門リヴァプールも、プレミアリーグ発足後はリーグ戦のタイトルに見放され、その時代にイングランド・サッカー界に君臨し、また、プレミアリーグの国際的な人気急上昇に乗って国際的なブランドとなったマンチェスター・ユナイテッドの後塵を拝し続けたのだった。

マンチェスター・ユナイテッドが“グローバルな”存在だとしたら、リヴァプールは“ローカルな”とは言わないにしても、“ナショナルな”人気を誇るクラブという位置づけだろうか。どこか、“お上品な”あるいはもう少し厳しい表現をすれば“ミーハー的な”雰囲気もあるオールドトラッフォードに比べれば、アンフィールドは伝統的なイングランドのフットボールの文化を引き継いでいるような気がする。

おそらく、リヴァプールのファンに中には、そうした“グローバルな”存在であるマンチェスター・ユナイテッドに対して複雑な感情を抱いている人も多いことだろう。

その相手に、ユルゲン・クロップ監督のチームは完勝して首位の座をキープして見せたのだ。アンフィールドは、快感に酔いしれたことであろう。

リヴァプールの強力な攻撃に対して、マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督はスリーバックで対抗してきたが、システムがどうこうというような試合ではなかった。

リヴァプールの前線の3人(モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ)のスピードとコンビネーションはマンチェスター・ユナイテッドの守備を圧倒しただけでなく、マンチェスター・ユナイテッドがボールを奪い返しても、前線の3人が激しくプレッシャーをかけてリヴァプールがすぐにボールを奪い返すので、マンチェスター・ユナイテッドは攻撃の糸口を作り出すこともできなかった。

いわゆる「何もできない」状態が続いたのだ。それも、90分間にわたってだ。終わってみれば、シュート数ではリヴァプールの36本に対して、マンチェスター・ユナイテッドがわずかに6本という結果となったのだ。もし、モウリーニョ監督が「ゴール前にバスを置く」、つまりリトリートして人数をかけて守備を固めていても、結果は変わらなかったことだろう。

まさに「圧勝劇」だった。

しかし、リヴァプールは実際には苦戦を強いられた。24分にファビーニョからの浮き球のパスをコントロールしたマネが決めて先制したリヴァプールだったが、その後はチャンスを決め切れず、さらに33分にはマンチェスター・ユナイテッドのロメル・ルカクが入れたクロスをGKのアリソンがまさかのキャッチミス。ジェシー・リンガードに決められてなんと同点に追いつかれてしまったのだ。

そして、その後も試合内容では圧倒するものの、やはり追加点が奪えないまま後半も半分が経過した。

クロップ監督は70分にナビ・ケイタを退けてジェルダン・シャチリを投入。すると、73分にはマネのドリブル突破からのクロスがこぼれたとことに詰めたシャチリが勝ち越しゴールを決め、さらにシャチリは80分にも追加点をゲット。交代で投入したシャチリの2ゴールで勝負を決めた。

クロップ監督の采配が大当たりだったわけだが、シャチリの2ゴールはどちらもシュートが相手選手に当たってコースが変わって入ったラッキーなものであったことも事実だ。

せっかく、シュート数で36対6、ボール支配率で65%と圧倒していたのだ。リヴァプールとしては、もっと早い時間にしっかりとゴールを決めて勝利をつかみたかったはずだ。

第16節で首位に立ったリヴァプールは、その後、12月12日にはチャンピオンズリーグのグループステージ第6節でナポリ(イタリア)と対戦。1対0で勝って、ラウンド16進出を決めた後、このマンチェスター・ユナイテッドとの試合を戦った。

そのアンフィールドでのナポリ戦も34分にモハメド・サラーが先制ゴールを決め、その後も攻撃力でナポリを圧倒しながら、どうしても追加点が奪えず、終盤にはナポリのカウンターからあわや同点といった場面もあった(引き分けていれば、リヴァプールはグループ3位となり、ヨーロッパリーグに回らざるをえないところだった)。

リヴァプールというチームが、全員がハードワークに徹する素晴らしい守備力に裏打ちされた圧倒的な攻撃力を持つチームであることは間違いない。ただ、このところの試合を見ると、その圧倒的な攻めの割りにゴールを決めることができずに苦しんでいる状況にある。

もちろん、前線の3人はいずれも決定的な仕事のできる選手ばかりなので、さほど心配する必要はないのかもしれない。だが、今後もマンチェスター・シティとのしびれるような首位争いが続くはずなのだ。リーグのタイトルを目指すのであれば、早急に対策が必要なのかもしれない。クロップ監督は、どう考えるのであろうか?

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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