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アーセン・ヴェンゲル監督が退任してウナイ・エミリ監督が就任した今シーズンのアーセナル。
ヴェンゲル長期政権の後を継ぐという難しい立場の中でプレミアリーグでは5位~6位に付けている現状は悪くはない成績だが、やはりそこはアーセナルという名門中の名門。チャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得は目指したいところだ。
最近は公式戦16戦無敗を続けおり、一時は11連勝という時期もあったが、このところ「3連続引き分け」と足踏みをしていたそのアーセナルが、プレミアリーグ第13節ではボーンマスを2対1で破って久しぶりの勝利。この結果、5位のアーセナルは4位のチェルシーに勝点1の差と迫り、逆に6位エヴァートンには5ポイントの差を付けた。
ウナイ・エミリ監督自身も目標とするCL出場権を目標に、これからが本格的な戦いに入るのだろう。
さて、好調ボーンマスとの試合は「久しぶりの勝利」といっても、けっして楽なものではなかった。
ウナイ・エミリ監督は、ボーンマスの強力ツートップ(ジョシュア・キングとカラム・ウィルソン)を警戒してか、右からシュコドラン・ムスタフィ、ソクラティス・パパスタソプーロス、ロブ・ホールディングとセンターバック・タイプを並べた3バックの布陣を選択した。
この3バックが選手間の距離を狭くしながらフラットに並ぶ最終ラインと、ハードワークできるセントラルMFのルーカス・トレイラとグラニト・ジャカを加えた守りは一見かなり堅固そうに見えたのだが、試合開始早々からアーセナルはピンチを迎えてしまう。
8分には、ボーンマスの右サイド、デイヴィッド・ブルックスがドリブルで持ち込み、ワンツーで抜け出してゴールネットを揺らしたのだが、このゴールはオフサイドで取り消された。ただ、リプレーを見る限り、オンサイドだったようにも見えた。ラッキーな判定に救われたアーセナルは、その後も最終ラインがあっさり破られる場面が何度かあった。
ポジション取りとしては悪くない3バックだったが、最後の突破の瞬間に足が止まってしまい、DFとDFの間をすり抜けられてしまうのが弱点だった。MFや両サイドのウィングバックとの連携にも課題があるようで、守備の不安は3バックの採用によっても払拭しきれなかったようだ。
今シーズンのアーセナルの問題点の一つが失点の多さだが、そのあたりは簡単には改善できないようだ。長く戦列を離れていたローラン・コシェルニーが近く復帰できるというが、それまでは守備の不安はぬぐえないのであろうか。
ボーンマスとの試合は、ともにパスをつないで崩すサッカーを志向するチームだけに、攻撃的な展開となって面白かった。とくに、この試合のファウルの数は90分を通じてボーンマスが「6」でアーセナルが「9」というのだから、相手の良さをつぶすようなことのないフェアな試合だった。
もちろん、アーセナルは攻撃では見せ場を作った。8分のピンチの直後には相手のパスをカットしてルーカス・トレイラがシュートをポストに当てるチャンスを作り、その後もしっかりボールを持って(ポゼッションは60%程度)攻撃を続けた。
もっとも、30分の先制ゴールはボーンマスのジェフェルソン・レルマのオウンゴールだった。
アレックス・イウォビからのパスを受けたピエール=エメリク・オーバメヤンが左から持ち込んでクロスを入れると、クリアしようとしたレルマが自らのゴールに強烈に蹴り込んでしまったのだ。
だが、その後もボールを持つアーセナルに対してボーンマスはカウンターからチャンスを作って対抗。そして、前半のアディショナルタイムにはやはり自陣ペナルティーエリアからのロングカウンターを決めて最後はキングがアーセナルのゴールにシュートを突き刺して同点ゴールを決めた。
1対1で折り返したこの試合、結局67分にFKからアーセナルが素早く展開し、最後はセアド・コラシナツの左からのクロスをオーバメヤンがきれいに合わせてアーセナルは2対1で勝ち越した。アーセナルの早い展開にボーンマスの守備陣が付いていけずに後追いの形となっており、イウォビからコラシナツにパスが通った時点で「勝負あり」だった。
そして、その後はアーセナルがうまく時間を使って勝利を手繰り寄せるかと思われたものの、試合の終盤になると85分にはオウンゴールを決めてしまったレルマが放ったミドルシュートがアーセナルのゴールのポストに当たるなど、あわや同点という場面が何回かあり、やはりアーセナル守備陣の不安定さが印象に残る結果となってしまった。
あのオウンゴールがなかったら勝負はどう転んでいたか分からない。ちょっとした運が勝敗を分けたような互角の試合だった。
いずれにしても、4位以内を目指して順位を上げたいアーセナルは次節12月2日にはエミレーツ・スタジアムに3位のトッテナム・ホットスパーを迎えて「ノースロンドン・ダービー」を戦うこととなる。両チームの勝点差は3で、この試合に勝てばアーセナルは4位以上に浮上できるという、順に争いのためにも大事な試合となる。
木曜日にはヨーロッパリーグのボルスクラ戦(アウェー)があり、ウクライナ中部までの長距離移動を強いられるだけに(トッテナムはCLのインテル戦があるが、こちらはホームゲームで、しかも水曜日のゲームなのでアーセナルよりは休養日が1日多くなる)、ウナイ・エミリ監督にとっても正念場となるだろう。
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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