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いよいよ開幕したイングランド・プレミアリーグ。第1節一番の注目カードはアーセナル対マンチェスター・シティだった。 22シーズンにわたって君臨したアーセン・ヴェンゲル監督がついに退陣し、ウナイ・エメリ監督が就任したアーセナル。ヴェンゲル時代を通じて美しいパス・サッカーを展開したものの「勝負弱い」という印象を否めなかったアーセナルがこれからどのように進化していくのか……。1人の監督が長期政権を続けてきた後の監督は前監督の色を消して、自分の色を施していくのが難しい。ウナイ・エメリはこれから何を目指すのか?
もちろんスペイン人監督なので、これまでのチームをベースにパスをつないでビルドアップしていくチームを作るのだろうか。今はまだ見守る段階なのだろうが、その方向性を早く見極めたい。アーセナルではメスト・エジルも気になる。 ワールドカップ終了後、トルコのエルドアン大統領との写真を巡ってスキャンダルが起こり、代表からの引退を表明したエジル。そのショックが残っているのか? あるいは、クラブでの試合に集中し、さらにモチベーションが上がっているのか?
そんな「アーセナル目線」で見始めた開幕戦だったが、試合はマンチェスター・シティの強さ、完成度の高さばかりが目に付く内容になってしまった。 立ち上がりこそ、いくつかチャンスを作っていたアーセナルだが、10分も経たないうちにマンチェスター・シティがボールを保持して、軽快にパスを回すようになった。1人ひとりの運動量というか、動きのキレ、動きの質の高さでアーセナルを圧倒。1人が動いてできたスペースに次の選手が入って、常にパスコースを複数確保して、テンポよくパスが回る。アーセナルの方は、それについてくのが精いっぱい。プレスをかけることもできなくなってしまった。
そして、14分には早くも先制ゴールが生まれる。右サイドでパスを回した後で左に展開。ラヒム・スターリングが持ち込んでペナルティーエリアに入ったあたりから放ったシュートに、アーセナルのGKのペトル・チェフはほとんど反応できなかった。パスを回され続けた結果、ゴール正面での危険な位置でも相手との間合いが開きすぎ、スターリングは楽々とコースを狙ってシュートを撃つことができたのだ。
その後も、追加点こそ奪えなかったものの、マンチェスター・シティの攻勢は続き、アーセナルは防戦一方で前半を終えた。アーセナルにとっては、監督が交代した新シーズンの開幕戦。チームがしっくりこないのは仕方がない。 前シーズンと監督とメンバーが変わらない場合でも、新シーズンの開幕(オフ明け)というのは、なにかとギクシャクするものだ。トレーニングですり合わせを行い、プレシーズン・マッチでテストを繰り返していても、公式戦でのインテンシティの高い中でのゲーム勘を取り戻すのには時間がかかる。まして、監督が変わったり、隣でプレーする選手が変わったりした場合、チームとして互いが馴染んでくるには1か月くらいかかるのは当然だ。
そもそも、優勝を狙うような強豪チームというのは、シーズン全体をも通して開幕直後よりも開幕1か月後あたりを目標にピークを持ってくるものだし、とくにワールドカップ直後の今シーズンは、ワールドカップで上位に進出した選手の合流が遅れるのでチーム作りの難しさは普段のシーズン以上のものがある。 それにしては、と感嘆を禁じ得ないのがマンチェスター・シティのゲーム運びのスムースさだ。
昨シーズン、圧倒的な強さでプレミアリーグ優勝を飾ったチームから離脱した選手もほとんどおらず、また、ペップ・グアルディオラ監督も就任3シーズン目ということで、完成度が高いのは当然ではあるが……。
そんな中で、新戦力として期待されているのがレスター・シティから移籍してきたリヤド・マフレズだ。右サイドのポジションで先発したそのマフレズは、すでに完全にチームに馴染んでいた。マフレズがドリブルで仕掛けると、右サイドバックのカイル・ウォーカーが追い越していく動きを見せ、イルカイ・ギュンドアンやベルナルド・シルバが絡んで10メートルほどの距離のパスを回す。その右サイドからの組み立ては、何度もマンチェスター・シティのチャンスを演出した。
こうして、多くのチャンスを作ったものの追加点がなかなか奪えなかったマンチェスター・シティだったが、64分にベルナルド・シルバが2点目を決めて勝負を決した。後半にはベンチ・スタートとなったケビン・デブライネ、ガブリエル・ジェズス、レロイ・ザネをピッチ上に送り込んだ。余裕の交代。いわば「慣らし運転」だった。
開幕戦でのこの完勝ぶりを見れば、今シーズンも優勝争いがマンチェスター・シティ中心に展開されることは間違いない。「どこがマンチェスター・シティを止めるのか」が話題の中心になるのではないだろうか。
一方のアーセナルは、これだけ押し込まれる展開になってしまうと、新監督の方向性を見せるどころではなくなってしまった。故障者も多く、しばらくは苦しい戦いが続くことだろう。昨シーズンの王者に圧倒された試合だったが、強いてポジティブな面を見るとすれば、新加入選手の一味違ったプレーくらいだろうか。
一人目は、左サイドバックのエインズリー・メイトランド=ナイルズの負傷によって急遽投入されたステファン・リヒトシュタイナー。本職の右ではなく左サイドでも強引なアップダウンでチームに推進力を与えることに成功した。テクニシャン・タイプの多いチームの中でアクセントを付けるプレーヤーになれそうだ。
また、やはり新加入でいきなりセントラルMFとして先発した19歳のマテオ・グエンドゥシ。前半は慣れないプレミアリーグの舞台で、マンチェスター・シティのパス回しに振り回され続けたものの、後半に入ると試合のリズムにも慣れて、アグレッシブな姿勢を見せた。こちらも、今までのアーセナルとは一味違うダイナミックさを持った選手だけに楽しみだ。
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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