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サッカー フットサル コラム 2018年3月22日

強豪同士の好カード目白押し…… W杯への準備として大切な3月シリーズ

後藤健生コラム by 後藤 健生
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ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表チームが強化試合のためにベルギーに旅立って行ったが、3月のインターナショナルマッチ・ウィークには「日本戦以外にも」というか「日本戦以上に」注目のカードが目白押しだ。

ワールドカップを前にしたチーム作りの最終段階。強豪チーム同士が顔を合わせて最後に「課題」を洗い出す。そんな、各国代表監督たちの思惑が伝わってくる。 たとえば、日本対マリ戦と同じ3月23日には前回ワールドカップ優勝のドイツが、前々回の覇者スペインと対戦する。ドイツは、当然連覇を狙っており、一方のスペインはブラジル大会でのグループリーグ敗退の雪辱を期しているはず。クラブレベルでは、チャンピオンズリーグのベスト8に3チームが駒を進めるなど、相変わらず最強の地位にいるスペイン。ロシア・ワールドカップの優勝候補筆頭同士の戦いは注目だ。

同じく、ワールドカップで「雪辱」を期しているのがブラジル代表。 自国開催だった前回は準決勝でドイツのまさかの1対7の大敗。チッチ監督就任以来チームのまとまりと安定感が格段に向上したブラジルはやはり優勝候補の最右翼だ。そのブラジルが3月の代表ウィークではワールドカップ開催国のロシア、そしてリベンジを狙う当の相手であるドイツと顔を合わせる。ドイツとブラジルは、現在のFIFAランキングでは1位と2位の対決でもある。

「FIFAランキング」という面では、ロシアは63位と日本(54位)以下の存在ではあるが(ワールドカップ予選という公式戦がなかったため、ポイントがたまらなかったという理由もある)、ブラジルにとっては開催国であるロシアという環境を体験することに大きな意味があるのだろう。会場は決勝戦が行われるモスクワのルジニキだ。

同様に、フランス代表もワールドカップのダークホース的存在のコロンビアと対戦した後にロシアに乗り込んで、ロシアと対戦する。こちらは、ロシア第二の都市で準決勝の会場となるサンクト・ペテルブルクが舞台である。 このように、各国とも3月の代表ウィークは本気度の高い試合となりそうだ。 各国とも、3月の試合が終わると代表は解散となり、いよいよ国内リーグの最終盤を迎えることになる。強豪国の多くではすでに首位のチームが独走状態となっているが、CL圏争いや残留争いなど激しい戦いが続く。また、CLも準々決勝を迎えてこれからますますヒートアップしていくことだろう。

そして、代表チームが次に招集されるのはクラブレベルでの戦いが終わった5月中旬。そこで再び顔を合わせた代表はワールドカップ本番に向けて最後の調整を行うわけだ。

だが、最終調整の段階ではコンディション調整や戦術の構築がメインテーマとなる(代表チームは一緒にトレーニングをする時間がほとんど与えられていないから、ワールドカップやEUROなどの直前の合宿機会は戦術確認のための貴重な機会となる)。したがって、負荷が大きくなる強豪同士の試合は避け、やや格下相手の調整マッチがメインになるはずで、その分3月の代表ウィークに強豪同士の対戦が組まれるというわけだ。

その3月の代表ウィークの対戦表を見ていて面白い存在となっているのが、ワールドカップ出場権を逃してしまったオランダとイタリアの存在だ。3月シリーズで、イタリアはアルゼンチンとイングランドと対戦。オランダもイングランド、ポルトガルとどちらもワールドカップで上位進出を狙う強豪と対戦する。

この時期の親善試合のマッチメークでは、ワールドカップ本大会のグループリーグで実際に対戦する相手とは試合が組まれない。互いに、手の内をさらしたくないからだ。その点、ワールドカップに出場しないイタリアやオランダであれば、決勝トーナメント以降も含めて本大会で対戦することは絶対にないのだから、安心して試合ができるというものだ。

さて、こうして強豪同士の顔合わせが実現したわけだが、そこで何をテーマにするのかは、それぞれのチーム事情が絡んでくる。 今回の代表ウィークに選出された各国代表の顔触れを見ると、重要な選手を欠いているチームが多いように思える。

たとえば、ドイツなら世界ナンバーワンGKのマヌエル・ノイアー。あるいは、ブラジルなら世界最高額男のネイマール。そして、イングランド代表なら世界最高の点取り屋の一人、ハリー・ケインといったところだ。 シーズンの終盤を迎えた現時点で負傷者が多くなるのは当然のこと。むしろ「本番直前でなくてよかった」と思うしかない。そして、代表監督にとっては中心選手が欠けた時のテストにもなる。たとえば、GKの場合はポジションが一つしかないので、控えのGKには出場機会が与えられることは少ない。そういった意味では、ドイツは格好のテストができるはずだ。

また、イングランドにとっては絶対の得点源であるケインがいない場合のテストは重要だ。予選は圧倒的な成績で突破したとはいえ、試合内容を考えるとあまり楽観的にはなれないイングランド代表。もし、彼らが上位進出を狙うとすれば、やはりケインをどう生かすのかが最大のテーマではあるが、同時に何らかの理由でケインがいなくなった時の戦い方も準備しておかなければならない。

そういう意味でも、各国代表にとって3月のシリーズはとても重要な戦いとなる。 さて、そんな各国の3月シリーズの対表を見ていると、ワールドカップ出場権を逃したマリ代表(FIFAランキング67位)、ウクライナ代表(同35位)としか対戦しない日本のことが心配になる。今の時点で、もっと強い相手と戦わなくていいのだろうか? 「チーム作りが順調に進んでいない現段階では、テストの側面が大きい。だから、対戦相手もあまり強い相手でない方がいい」という考えがあるのかもしれない。それならいいのだが、強い相手を探してうまくマッチメークができなかったのなら、これは大きな問題だ。

また、これまでのワールドカップと比較して気になるのは、現在の日本代表が開催国ロシアでの試合を経験していないことだ。 前回のブラジル大会の時は、日本はコンフェデレーションズカップに出場してブラジルで3試合を経験したし、さらに4年前の南アフリカ大会の時はわざわざ前年に南アフリカ遠征を敢行し、開催都市の一つポート・エリザベスで南アフリカと親善試合を行っている。

今回は、ロシア遠征は必要なかったのか? 同じアジアの代表であるオーストラリアは昨年のコンフェデレーションズカップに出場しており、また韓国もイランも昨年の11月にロシアで試合をしているのに……。

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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