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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引き込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。 「栗村修の"輪"生相談」では、日頃のライドのお悩みからトレーニング方法、メンタル面の相談など、サイクリストからの様々な相談にお答えしております。栗村修に聞いてみたい、相談してみたいことを募集中。相談の投稿はこちらから。

2024年02月07日

【輪生相談】ツール・ド・フランスを個人で見たいのですがスタートとゴールどちらが見るべきだと思いますか?見るためにはどうすればいいか教えてください。

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ツール・ド・フランスを現地でツアーでなく個人で見たいのですがキャラバン隊も含めスタートとゴールどちらが見るべきだと思いますか?また、スタート・ゴール付近はお金が掛かるのでしょうか?有料でもいいのでどうやったら見れるかアドバイスお願いします。

(男性 会社員)

■栗村さんからの回答

栗村さん

サイクルロードレースファンならば「いつかは現地観戦!」と思っている方は多いといます。ちなみに私自身は、過去に自分の意思でツール・ド・フランスを現地観戦したことは2回しかなく、あとは全部お仕事でした。ですので、ハイレベルなアドバイスができないことをお許しください。

さて、まず大前提ですが、自転車ロードレースの現地観戦は他のスタジアムやアリーナ型のスポーツに比べて観戦難易度がそれなりに高くなります。スポーツ観戦というより、フリーの海外旅行、海外登山といった感覚を事前に持っておいた方が良いかと思います。

20210707TDF0020-A.S.O._Charly_Lopez.jpg沿道に多くの観客が訪れるツール・ド・フランス

ですから、初回は観戦ツアーに申し込んで効率的に経験を積むのが良いでしょう。最初からご自身で動くと、レース観戦以前の事前準備がとても大変です(もちろん旅慣れている方であれば問題ないかと思います)。

その上で準備していく大項目を挙げるとすると以下の内容になるでしょうか。
・全体スケジュールの確定
・飛行機チケットの予約
・ホテルの予約
・レンタカーの予約


そして最初のスケジュールを作成する上での主要な観戦ポイントは以下です。
・スタート地点
・ゴール地点
・山岳コース(峠で観戦)
・個人タイムトライアル(ひとりひとりじっくり観戦できる)
・補給地点
・休息日(上級編)
・最終日(通常はパリ・シャンゼリゼ)

※上記を自分なりに1日1箇所セレクトして数日かけて組み合わせるのがお勧め


ご質問いただいたスタート地点とゴール地点の違いについてですが、のんびりと観戦を楽しみたいならスタート地点をお勧めします。選手たちはスタート前は穏やかですし、それほど総合成績に影響しない平坦ステージなどでは、スタート前の選手たちとコミュニケーションをとれるかもしれません。たとえば、出走サインのときはひとつのチャンスです。

一方で、ゴール地点にはゴール地点の楽しさがあります。ゴールそのものは一瞬で終わってしまいますが、選手たちのゴールを待つワクワクがありますし、表彰式を見ることもできます。ただ、ゴール直後の選手たちは殺気立っていますし、さっさとホテルに帰ってしまうので、接触するのは難しいかもしれません。

慣れた方は、まずはスタート地点で観戦し、その後数か所を順にめぐってレースを楽しみつつ、最後はゴールに先回り......などということをやってのけます。ちなみに、補給ポイントで観戦しているとボトルなどのチームグッズをゲットできるかもしれません。なお、レース観戦は基本的にどこでも無料ですが、パリ・シャンゼリゼなどでは有料観覧席が設置してあるステージもあります。

さて、以上があらましですが、個人で現地でツールを観戦するためには、国際運転免許が必須です。自動車以外の公共交通機関で移動することも可能ですが、その場合は観戦箇所が限られてしまいますので、やはりレンタカーを借りることになるでしょう。

つまり、左ハンドルの自動車で右側通行の道路を走らないといけません。僕がフランスに住んでいたころとは違い、最近はAT車が増えているようですが、MT車も普通に残っているので、日本とは色々な点で交通法規や慣習が違います。そちらに順応する準備が必要です。フランスは比較的路上駐車はしやすい国なのですが、日本より交通ルールに厳しい面もありますから、よく下調べをしていってくださいね。あとはツール・ド・フランスの交通規制はかなり厳しいので、車で近づける距離が意外と遠いです。小移動用の折りたたみ自転車などがあると便利かもしれません。

迂回路がほとんどないアルプスやピレネーの山岳ステージでは、前日あるいは2日ほど前から峠に向かうルートが封鎖されるので、駐車した場所からコースまで数kmを歩くか、封鎖される前に峠に上っておくかという選択を迫られます。

J SPORTSの解説でお馴染みのフォトグラファー辻啓さんがまさにこの道のプロですが、彼ですら毎大会ごとに一定のトラブルに見舞われています。

ツール・ド・フランスは、選手や関係者だけでなく、観戦者にとってもある種のアドベンチャーを求めてくる偉大なレースです。大変ではあるけれど、その分、得られるものも大きいと思いますので、時間をかけて準備を行い、ぜひサイクルロードレースファンの夢を叶えてみてください。

文:栗村 修・佐藤 喬

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