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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引き込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。 「栗村修の"輪"生相談」では、日頃のライドのお悩みからトレーニング方法、メンタル面の相談など、サイクリストからの様々な相談にお答えしております。栗村修に聞いてみたい、相談してみたいことを募集中。相談の投稿はこちらから。

2023年09月20日

30代に入ってから自転車にハマっているのですが、未経験の初心者はどのようにステップアップしていけば良いのでしょうか?

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今年に入ってからシングルスピード、ロードバイクと買い自転車にハマっている30代です。スポーツバイクに乗るようになって色々と調べ始めたのですが、この年代から趣味として始めたライダーがステップアップしていく場が少ないように感じます。いきなりレースに出るわけにもいかないですし、かと言ってコースやトラックを気軽に走れるような機会もありません。SNSなどでコミュニティを探そうと思っても、ある程度の経験がある人が前提になっているように感じます。昔、車にハマっていたときには緩いコミュニティが複数あり、サーキット走行やジムカーナなど初心者でもスキルアップできる場があったので文化の違い?に困っています。まずは一般道などでスポーツバイクに慣れなきゃいけないのは分かるのですが、今後もう少しステップアップして楽しみたいと思った場合、未経験の初心者はどのようにステップアップしていけば良いのでしょうか?

(男性 会社員)

■栗村さんからの回答

栗村さん

おっしゃる通りだと思います。安全な走り方を身に着けられるコミュニティがまだまだ少ないことは、あきらかに自転車界の課題です。

ヘルメットの着用努力義務化がスタートし、自転車の交通違反に"青切符" 反則金制度導入のニュースも流れていますよね。今まではなんとなく見過ごされていた歩道の爆走や車道逆走なども、取り締まられるようになるでしょう。「車両」としての意識なしに走れた時代は終わりです。

AW7_9907A.jpgオフロード種目のシクロクロス出身のワウト・ファンアールト選手とマチュー・ファンデルプール選手

でもそれは、質問者さんのように、乗り物としてしっかりと自転車を楽しもうとする人にとってはいい流れだと思っています。問題は、繰り返しになりますが、大前提として車両としての自転車の安全な走らせ方を学べる場所が少ないことです。

これまでも各団体や企業、チーム、ショップ、個人の皆さんなどが個別に自転車教室を開催してきましたが、点と点でしかリーチできておらず、広範囲の皆さんに一定の品質を届けられる仕組みはまだまだ不足しています。ぼくにとっていま一番大きな課題のひとつです。

その上で、質問者さんがおっしゃるステップアップのための"スキルアップスクール"がさらに身近にあると、スポーツバイクの楽しさが一層広がっていきます。"緩いコミュニティ"というのがどの様なレベル感なのかはわからないのですが、要するに気軽に参加できるスクールという意味ですよね。

全国展開ではないのですが、質問者さんの求めている内容に近いスクールがあるので参考までにご紹介します。

知人の安藤隼人さんという方が、「スマートコーチング」というパーソナルコーチングをされているのですが、自動車教習所を利用したまさにジムカーナ的なサイクルスクールを開催しています(https://www.instagram.com/cycle_school/)。

ジムカーナでは、コーンなどが置かれたコースの上を一台ずつ自動車が走りますよね。自転車でも同じように、きついコーナーなどが設定されたコースを安全な速度で走り、「まっすぐ走る・曲がる・止まる」の基本スキルを身に着ける必要があります。それを学べる場があちこちにあればサイクリストのスキルは向上し、落車によるケガも減るでしょう。

スキルアップトレーニングは基本的な動作やコツを覚えたあと、とにかく"反復して身体に覚え込ませる"作業が重要です。

過去に私のYouTubeチャンネルで「シクロクロス」というオフロード種目のトレーニング内容を紹介したことがあるので、こちらも一部参考になるかと思います。安全な場所でプロテクター類を装着して実施してください。

動画はこれです。

また、特定のスキルだけを見たい方は以下を参考にしてください。

10:52 ブレーキング

12:50 スタンディング

15:25 コーナリング

トラックについては、インターネットで「バンク 走行会」で検索いただくと、競輪場などで実施しているイベントなどがヒットすると思います。

今回いただいたご質問は、僕を含めた多くの自転車関係者にとって今後取り組むべき重要課題のひとつだと認識しております。引き続き安全第一で自転車を楽しんでくださいね。

文:栗村 修・佐藤 喬

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