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このブログについて
【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引き込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
「栗村修の"輪"生相談」では、日頃のライドのお悩みからトレーニング方法、メンタル面の相談など、サイクリストからの様々な相談にお答えしております。栗村修に聞いてみたい、相談してみたいことを募集中。相談の投稿はこちらから。
【輪生相談】快適なケイデンスを維持する練習方法を教えてください
いつも楽しく拝見させていただいている54歳のレース未経験者です。
ヒルクライムレース出場を考えるようになり、冬場のローラートレーニングをはじめました。
平地を乗っていて、キツくもなく「この感覚が一番気持ちいい」と思うときは大体が時速35km/ケイデンス95rpmくらいで、(85〜90rpmくらいより疲れません)ライドのペースもそのくらいですが、7〜10%くらいの勾配になるとなかなかケイデンスを維持できず80〜85rpmまで落ちてしまいます。
現在、ローラートレーニングの際、95rpm固定で強度を上げる練習をしていますが、疑問も出てきて、「最初から85rpmくらいで強度を上げ、脚力をつける方が練習になるんじゃないか?」とも考えるようになりました。
人それぞれ特性があり、答えは一つでは無いと思いますが、ご教示いただければ嬉しいです。
(会社員 男性)
栗村さんからの回答
おっしゃる通り、ケイデンスについての答えは一つではありません。快適なケイデンスは人によって違います。
そのことを前提にした上でのお答えですが、そもそも、上りでケイデンスが落ちるのは仕方がありません。7〜10%というとけっこうな勾配ですから、速度が落ちて慣性も効きづらくなり、ペダル1回転の中でトルクをかける範囲が広くなりケイデンスは落ちやすくなります。
そんな坂でも80〜85rpmで回せるということは、質問者さんはかなりのハイケイデンス派ではないでしょうか。平地でのケイデンスも高く、54歳のレース未経験者としてはなかなかのペダリングスキルをお持ちのようです。ともかく、質問者さんのスキルは低くありませんし、平地と上りのペダリングとケイデンスはある程度別物と考えてください。
ただし、上りでもハイケイデンスを維持しようとする今の方向性は間違ってはいないとも思います。今は上りでもケイデンスが高い選手も増えていますし、ハイケイデンスのほうがペダリング効率がいいことも知られていますから、上りでクルクルと回すメリットはあるのでしょう。
栗村さん『適切なケイデンスは人によって、または状況によっても違います』
しかし繰り返しになりますが、適切なケイデンスは人によって、または状況によっても違いますから、現在の質問者さんにとってのヒルクライムでの適正ケイデンスが95rpmなのか85rpmなのかは、上記の情報だけでは僕にはわかりません。
ですから、まずは上りでさまざまなケイデンスを試し、ご自身にもっとも向いたケイデンスを見つけてください。平地での適正ケイデンスより、たぶん、少し低くなるとおもいます。手っ取り早く適正ケイデンスを探るには、パワーを一定にしつつケイデンスのみを変化させ、最も心拍数が低くなる(もしくは脚が楽に感じる)回転数を見つけ出す方法があります。
ローラー台でもトレーニングをされているとのことですが、その際、バイクは水平ですか?上りでのペダリングを意識するなら、前輪の下に台などを置いて、バイクを前上がりにセッティングしてトレーニングすることをおすすめします。かなりペダリングの感覚が変わるはずです。それでも実際のヒルクライムのペダリングを完全に再現はできませんが、できるだけご自身が狙う状況に近づける努力は必要です。そうじゃないと、適正なケイデンス(ペダリング)を見誤ってしまいます。
あとはローラーをまわした時の「慣性」も、実際の平地と上りでは感覚が異なるので、意識して調整してみてください。具体的には、平地であればペダリングを止めても自転車はしばらく前に進み続けますが、急坂で足を止めればものの数秒で自転車は止まってしまいます。この「慣性」の要素がペダリングやケイデンスに大きく影響を及ぼします。
ペダリングに限りませんが、フォームって、正解がないんですよ。幅がある中で、ご自身にとってのベストを探すしかありません。外部の情報にあまり惑わされず、ご自分の身体と向き合ってみてください。
文:栗村 修・佐藤 喬