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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
自転車ロードレースの選手にも実は"ちゃんと"「年金」があります。
CPA(Cyclistes Professionels Associés/本拠地:スイス/代表:ジャンニ・ブーニョ)という組織が積立を行なっており、引退時にそれらが支払われる仕組みになっています。
しかし今年は、新型コロナウイルスの影響で引退する選手が多くでたため、年金の支払いがショートしているとのことです。
CPAという組織は表向きは「選手会」という形になっていますが、現状では投票権などに偏りがあり、選手を守るための組織としてまだまだ多くの課題を抱えている様です。
現に今年に入ってから選手側が組織改革を提案しはじめており、しばらくは不安定な状況が続くものと予想されています。
今回、年金の支払いが滞ってしまっている理由の一つに「積立金」のシステムが挙げられています。
積立の方法と問題点は以下の様になります。
◯各UCIレースの賞金から5%が積み立てられる
◯しかし全てのレース主催者が支払っているわけではない(TOJはちゃんと払っています)
◯現状理想的な年間引退選手数は48人だが2019年は69人の選手が申請し赤字となる
◯また今年は開催レース数が少なかったので積立金不足に直面
◯一方で引退選手数は多くなる可能性が高く支払いが更に困難となることが予想される
ちなみに年金受給資格は以下の様になっています。
◯ワールドツアーorプロチームで5年以上のキャリアがある
◯過去5年以内にドーピング違反をしていない
CPAのウェブサイトには年金支払いの理由として「選手のセカンドキャリア支援」が謳われています。
本来であれば、2019年に引退した選手には12,500ユーロが支払われるはずでしたが、現状では3,000ユーロしか受け取れていない選手もいるようです。
自転車競技の制度改革はまだまだ道半ばといったところといえるでしょう。