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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
「第107回 ツール・ド・フランス」は第10ステージを終え、連日レース内外で荒れた展開が続いております。
そんな中、昨日は月曜日に実施されたPCR検査について衝撃のニュースが2つ飛び込んできました。
幸い選手については全員が陰性だったものの、下記チームのスタッフから1名ずつ陽性者がでてしまいました。
・イネオス(総合2位ベルナル所属チーム)
・コフィディス(総合3位マルタン所属チーム)
・アージェードゥゼール(総合4位バルデ所属チーム)
・ミッチェルトン(総合8位A・イエーツ所属チーム)
これまでも再三お伝えしてきたように、今回のツールではレースの独自ルールとして「7日以内に一つのチームから二人以上のPCR検査陽性者がでてしまった際はチームとしてレースを去らなければならない」という決まりがあります。
ですので、上記4チームについてはある意味で「リーチ」がかかってしまったことになります。
ちなみに次回の定期PCR検査実施予定日は9月14日(月)になりますので、恐らくこの日までに発熱などの症状などにより「臨時PCR検査」を受けることにならない限りは、上記4チームのカウントは一旦リセットされるものと思われます。
そしてさらに驚くべきことに、なんと大会のジェネラルディレクターであるクリスチャン・プリュドム氏も、PCR検査陽性者となってしまいました。
本来であればPCR検査を受ける義務はないプリュドム氏ですが、自らの意思で8月に入ってから定期的に検査を受けており、残念ながら大会期間中に陽性反応となってしまいました...。
プリュドム氏は政府のガイドラインに従い、8日間は隔離状態にて遠隔でレースの指揮を執り、なんとか大会が終了するまでにはレースに戻ってこれるとのことです。
大変なことが起こってしまったな、と感じる一方で、以前にも書いたことではありますが、「PCR検査陽性者」がでてしまった上でしっかりと大会が継続できていることにある種の頼もしさを感じていたりもします。
要するに「コロナとの共存」を実現しつつあり、「ゼロリスクを求めてなにもしない」のではなくて、対策を講じながら人間社会を動かし続けるという、「アフターコロナ」のあるべき姿を実践しているともいえます。
もちろんまだまだ油断はできませんが、世界から注目されている「リアル・ツール・ド・フランス」をしっかりと応援してきたいと思います。