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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
現在、8月29日の「ツール・ド・フランス」開幕に向けて、主催者やチーム、選手などは各種ガイドラインに沿いながら様々な準備を進めています。
そんな中で、新型コロナウイルス感染症に関するもう一つの影響が散見されはじめています。
それは、感染症に対する直接的なリスクではなく、「感染症対策」に関するリスクといえば良いのでしょうか...。
少し前の報道になりますが、クリス・フルームが2021年からの移籍を発表したイスラエル・スタートアップネーションに所属するベテランの総合系ライダー、ベン・ヘルマンス(34歳/ベルギー)が、今年のツール・ド・フランスへの出場を辞退する決断をしたとの報道が流れていました。
実はヘルマンスはこれまでツール・ド・フランスに出場したことが一度もなく、もし今年のツールに出場すれば、人生初のツールを経験することになるはずでした。
しかし、ヘルマンスは、社会的孤立を理由にツール・ド・フランスへの出場を断念しました。
理由を簡単にまとめると、ツール・ド・フランスに出場するためには、コロナ対策のために、レース前の合宿を含めて約2ヶ月間部外者との接触が事実上禁止されることになるためです...。
一方、ヘルマンスのパターンとは若干異なりますが、オーストリアで実施されているサンウェブのチームキャンプに参加していた若いマイケル・ストーラー(23歳/オーストラリア)が、チームの規約違反によりキャンプから帰されてしまったというのです。
そして、その規約違反というのが、「ホテル近くのお店に出かけてシャンプーを購入した」という内容でした...。
こちらもコロナ対策に関連する規約が影響してしまった形です。
自転車界はこれまで厳しいドーピング対策によりかなり徹底した選手管理が導入されており、プライベートがなくなることや、行動を管理されることについては、選手たちはすでにある程度の慣れを獲得してきたはずです。
しかし、今回新たに生じたコロナ対策という制限については、選手たちにこれまでと違った更なる課題とストレスを与えてしまっています...。
ツール開幕まであと1ヶ月半ほどとなりましたが、乗り越えていかなくてはいけない壁はまだまだ多く残されている状況です。