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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
今週の注目ニュースをピックアップして、自転車おじさんのコメントをつけてお届けする「ウィークリーニュース しゅ〜くり〜むら(WNC)」の回となります。
もしかすると1回限りで終了してしまうかとも思いましたが、なんとか第2回にたどり着くことができました。
・契約情報
新型コロナウイルスの影響で各チームの財政状況が心配されているなか、今週はいくつかの新たな契約関連のニュースが飛び込んで参りました。
◯17歳のドイツジュニアチャンピオンMarco BrennerがUCIワールドチームのチームサンウェブと4年契約を結びました。
栗村コメント:
近年、U23の選手たちがワールドツアーのレースで大活躍をみせています。
エガン・ベルナル(チーム イネオス)は、U23 4年目の年齢(日本だと大学4年生)でパリ〜ニース、ツール・ド・スイス、ツール・ド・フランスを制しました。
レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、U23 1年目(大学1年生)にクラシカ・サンセバスティアン、ヨーロッパ選手権個人TTを制し、世界選手権の個人TTでも2位となっています。
このほかにもU23年代でワールドツアーで勝利を挙げている選手は少なくありません。
かつてはU23というのはプロ選手になるための最終準備期間の様な位置づけでしたが、近年は即戦力としてがんがんに暴れまくっている状況です。
そんなこともあってか、U23ではなくてジュニア選手と直接契約を結ぶワールドチームが目立ってきました。
上記のドイツジュニアチャンピオンのBrennerの前には、UAEチームエミレーツがスペインジュニアチャンピオンのJuan Ayuso(17歳)と契約を結んだというニュースが流れていました。
いまは医学的なアプローチが進み、若年層の選手を潰すことなく戦力として生かしながら効率的に育てていくノウハウが構築されているのでしょう。
◯フランスのワールドチームグルパマFDJが2024年までスポンサー継続を発表しエースのピノも2023年まで契約を延長しました
栗村コメント:
最近の悪い流れとは逆のグッドニュースですね。
ピノはこれで2010年から2023年まで14シーズンマディオ監督一筋となります。すごい子弟愛です。
ちなみにグルパマはフランスの大手保険会社、FDJは昨年末に民営化されたばかりの宝くじ販売会社です。
セクター的にコロナの影響を受けにくい業種ということなのでしょうか。
現状、来季の契約が不透明な選手が多いなかで、この長期契約延長が吉と出るのか凶と出るのか(安心が力になるのか慢心になるのか)に注目です。
Parce que les images valent mieux qu'un long discours ⤵ pic.twitter.com/jF4VT1wxcO
-- Équipe Cycliste Groupama-FDJ (@GroupamaFDJ) July 26, 2019
◯一方、選手の給与が今後35%下落するという不吉な予想も...
栗村コメント:
ベルギーの経済学者によると、自転車ロードレースの選手の給与は、他のプロスポーツに比べて新型コロナウイルスの影響をより受けやすいとのことです。
放映権料や入場者収入がチームの収益に反映される(顧客とチームが直結されている部分を持つ)スポーツであれば、ある程度新型コロナのショックを吸収できますが、自転車ロードレースはチーム側が直接収入の構造を持たないため、選手の給与が平均で35%ほど下落する可能性があるとの研究結果が公表されました。
新型コロナウイルスの影響を受けるタイミングは業種によって異なりますが、スポンサー収入がベースのスポーツなどは尾を引く期間が長い様に感じます。
企業にとってスポーツ関係へのスポンサードは最優先事項ではないので仕方がないのですが、自分自身にも関係していることなので少し心配になってしまいます。