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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
2020年シーズンに向けた各選手の所属チームとの契約はすでにその殆どが完了し、現在は毎年恒例のチームジャージが混在した形でのトレーニングキャンプなどがはじまっている状況です。
これまでも何度かご紹介して参りましたが、自転車ロードレース選手の一般的な契約期間というのは1月1日から12月31日となっています。
一方で、チームの次シーズンへ向けた動き出しは年々早くなっており、我々の世代では「自転車選手のお正月は12月1日」と表現していたりもしましたが、現在のお正月は「11月1日」もしくは「10月1日」といった更に前倒しとなったケースも増えてきているようです。
しかし、チームとの契約自体は変わらず1月1日からになるので、冒頭の「毎年恒例のチームジャージが混在した形でのトレーニングキャンプ実施」という形にことになってしまうわけです(契約期間中は現所属チームのウェアなどを着用しなければならないので...)。
さて、自転車選手の契約完了後の心境というのはいったいどの様なものなのでしょうか。
一般的には、スッキリした気持ちで次シーズンに向けた活動を開始する、一年で最もフレッシュなタイミングであるともいえます。
一方で、契約内容などに納得がいかず、なにか引っかかるものを抱えたまま悶々としてオフを過ごしている選手もいるかもしれません...。
しかしやはり、大半の選手が心と体がリセットされ、新たな自分を見つける旅へと向かう、ワクワク感というか、ポジティブな覚悟を感じている前向きな状態にあると思います。
私自身も遥か昔は選手だったので、記憶の引き出しを開けつつ当時の気持ちを思い出してみましたが、やはりこの時期にスッキリ納得ができていると、ワクワク感を持ってトレーニング計画を立てることができるので、結果的に良いシーズンを過ごすことができたように感じます。
選手という職業は本当に「水物」です。
たった1年で夢や希望が砕かれ、給料が半額になることなどはザラで、半額どころか翌年のこの時期にはもしかすると引退に追い込まれている可能性すらあります。
一方で、周囲や自分自身も気づいていない才能がたった一年で開花し、翌年には契約金が数倍になり、一躍スター選手になっているケースもあります。
自転車選手にとっての契約というのは、「再スタートの儀式」の様なものであり、毎年この儀式があることで、選手たちは緊張感を持った魅力的なオーラを発っし続けることができるのかもしれません。