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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
「第106回 ツール・ド・フランス」は、2週目を終え、一瞬消えかけた「フランスの陽」が再度灯り(しかも2つ!)、フランス国内はこの30年ほど忘れかけていたフランス人選手によるマイヨジョーヌ獲得という夢を思い出してテンションダダ上がり状態となっています!
まずは改めてフランス人によるマイヨジョーヌ獲得がどれくらい遠ざかっているのかを確認していきたいと思います。
◯前回総合優勝(マイヨジョーヌ獲得)
・1985年:HINAULT Bernard
◯表彰台
・2017年:3位 BARDET Romain タイム差2分20秒
・2016年:2位 BARDET Romain タイム差4分5秒
・2015年:2位 PERAUD Jean-Christophe タイム差7分37秒
3位 PINOT Thibaut タイム差8分15秒
・1997年:2位 VIRENQUE Richard タイム差9分9秒
・1996年:3位 VIRENQUE Richard タイム差4分37秒
・1989年:2位 FIGNON Laurent タイム差8秒
・1986年:2位 HINAULT Bernard タイム差3分10秒
1985年以降、フランス人が8回総合表彰台に上がっていますが、正直このなかで「総合優勝争いを演じた」とハッキリと言えるのは、1989年のローラン・フィニヨンだけではないでしょうか。
ということは、あのパリで起きた「最終日の大逆転劇」による大落胆を、フランスは30年間引きずり続けていることになります...。
その上で、最終決戦アルプスを前にした現在の個人総合順位を確認してみましょう。
◯第15ステージ終了時個人総合時間順位
1位 ALAPHILIPPE Julian/Deceuninck - Quick Step
2位 THOMAS Geraint/Team INEOS +1m35s
3位 KRUIJSWIJK Steven/Team Jumbo-Visma +1m47s
4位 PINOT Thibaut/Groupama - FDJ +1m50s
5位 BERNAL Egan/Team INEOS +2m02s
6位 BUCHMANN Emanuel/BORA - Hansgrohe +2m14s
ピレネーで一番登れていたのはティボー・ピノ(フランス/グルッパマ・FDJ)であり、ピレネーの2日間でゲラント・トーマス(イギリス/チームイネオス)とのタイム差を一気に1分41秒も縮めてきました。二人のタイム差は現在15秒。
一方、アルプスでどれくらい走れるのかさっぱりわからないのが、驚きの走りでマイヨジョーヌをキープしているジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)。
2位との差1分35秒は普通に考えると大きいと言えますが、一気に失速する可能性があることを考慮すると、一日で表彰台圏内から転げ落ちてしまう可能性も否定できません...。
そして残されたアルプスの山岳ステージは3つ。
7/25(木)18ステージ Embrun〜Valloire(3/1/HC/HC)208km(クイーンステージ)
7/26(金)19ステージ Saint-Jean-de-Maurienne〜Tignes(3/2/3/HC/1-SF)126.5km
7/27(土)20ステージ Albertville〜Val Thorens(1/2/HC-SF)130km
※SF=Summit Finish(山頂フィニッシュ)
総合優勝争いは現在のトップ5全員にまだオープンな状況です!
フランス人、イネオスファン、ユンボファン、アラフィリップファン、ピノファン、etc...、それぞれが皆ドキドキしている状況だとは思いますが、なによりもこんなにスリリングなツールを3週目突入前時点で楽しめていることがとても幸せなことだと感じています。
ある意味で30年ぶりの盛り上がりを魅せる「ツール・ド・フランス」を思いっきり堪能したいと思います!