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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
昨日、福岡県直方市に於いて、「自転車を活用したまちおこし」に関する基調講演を行いました。
現在、本年5月に施行された「自転車活用推進法」に対応するために日本全国の各自治体でそれぞれの地域で実施可能な「自転車関連の取り組み」などが考察されています。
「自転車を活用した国づくり」が法律化されたことにより、各自治体は国に対してなんらかの計画を提出する必要があり、先行して成功している事例などを参考にしながら、皆さん頭をひねりつつなにができるかを考えている状況です。
一口に「自転車を活用した国づくり」と言っても、その範囲は多岐に渡り、現状ではアイデア次第で様々な取り組みが実施可能な状態となっています。
そんな中、福岡県内の政令指定都市である北九州市と福岡市のちょうど中間に位置する「直方市」が、今後、延伸が予定されている遠賀川沿いのサイクリングロードを有効利用するためには「なにが必要か?」と、自転車をつかった国(地域)づくりのための最初一歩を踏み出し(考察を)はじめたわけです。
私自身、この10年弱の期間、「宇都宮ブリッツェン」や「ツアー・オブ・ジャパン」を中心とした様々な活動を通じて多くの自治体関係者の皆さんと接してきました。
そこで感じることは、地域を愛し、本気でその地域を盛り上げたいと考えているひとがいる場所というのは、内部で新たなアイデアをどんどん生み出していき、トライ・アンド・エラーを繰り返しながらも正常な自己進化のサイクルを手に入れていくということです。
そういった地域というのは、正直、「自転車をつかってまちおこしをしなさい」と指示されようが、「地元の食材をつかってまちおこしをしなさい」と指示されようが、はたまた「ゆるキャラをつかってまちおこしをしなさい」と指示されようが、結局はどれをつかってもある程度の成果を挙げてしまうように感じます。
大切なのは盛り上げるためになにを選択するかよりも(もちろんそれぞれの地域の特性に合わせた選択を行うことは大切ですが...)、「生まれ故郷をなんとかして良くしたい」といった「無償の愛」系の感情をどれだけ色濃く持てるかだと思います。
そういった意味で考えると、「目黒の自転車村」に住む我々というのも、いかにして「自転車に対して無償の愛を持てるか」が重要な要素になってくるわけです。
全国の様々な地域の皆さんと接することで、ひとが生きることの本質というものをいつも学ばせていただいております。