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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。

2017年08月23日

わかりやすい流れ

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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現在、「U23版ツール・ド・フランス」と評されている「第54回ツール・ド・ラヴニール」が、フランスを西から東へ射抜くようなルート(10日間/9ステージ/全長1,201km)で開催されています。

このレースは、U23の年間シリーズ戦である「UCI Under 23 Nations' Cup(年間全6戦)」の最終戦となっており、過去の総合優勝者の多くがのちに「ツール・ド・フランス」でも総合優勝を飾るなど、若手の登竜門レースとして歴史的に注目度の高いレースとなっています。

ちなみに「ツール・ド・ラヴニール」を制したあと「ツール・ド・フランス」でもマイヨ・ジョーヌを獲得した選手は以下の通りです。

Felice Gimondi(1964年)
Joop Zoetemelk(1969年)
Greg Lemond(1982年)
Miguel Indurain(1986年)
Laurent Fignon(1988年)
※上記の選手が計12回「ツール・ド・フランス」で総合優勝を飾っている

また、近年の「ツール・ド・ラヴニール」で活躍した選手は以下の様になっています。

2015 総合1位SOLER Marc(現モビスター)
2014 総合1位LÓPEZ Miguel Ángel(現アスタナ)
    ポイント賞2位GAVIRIA Fernando(現クイックステップ)
2013 総合1位FERNÁNDEZ Rubén(現モビスター)
    総合2位YATES Adam(現オリカ)
    ポイント賞ALAPHILIPPE Julian(現クイックステップ)
2012 総合1位BARGUIL Warren(現サンウェブ)
2011 総合1位CHAVES Johan Esteban(現オリカ)
2010 総合1位QUINTANA Nairo(現モビスター)
    総合2位TALANSKY Andrew(現キャノンデール)
    総合3位PANTANO Jarlinson(現トレック)
2009 総合1位SICARD Romain(現ディレクトエネルジー)
    総合2位VAN GARDEREN Tejay(現BMC)
2008 総合1位BAKELANTS Jan(現Ag2r)
    総合2位COSTA Rui(現UAE)
2007 総合1位MOLLEMA Bauke(現トレック)
    総合2位MARTIN Tony(現カチューシャ)

日本人の若手選手たちが「世界への扉を開くために目標とするレース」というのは、実はこれまであまり明確には定まっていませんでした。

一時期は、「世界選手権U23ロードレース」や、かつては「世界選手権アマチュアロードレース」で良い成績を挙げることが一つの目標になっていましたが、しかし、ワンデーレースである「世界選手権ロードレース」は、その年のコースによって活躍できる選手の質が変わるほか、いきなり「本物のロードレース」に出場しても、実力を発揮できずに終わってしまうパターンも少なくありませんでした。

現在、浅田監督率いる「ヤングジャパン」は、近代の世界基準である「Nations' Cup」を中心に戦っており、最終戦の「ツール・ド・ラヴニール」の出場権を獲得するためにシーズン全体を戦い、そして、平坦コース、丘陵コース、山岳コースを含むステージレースである「ツール・ド・ラヴニール」で結果を残すという、ある意味で「わかりやすい流れ」のなかでシーズンを戦うことが可能になっています。

この形であれば、国内チームに所属しながらも、ビザ問題、フィジカル・メンタル問題など、いくつかの問題を回避しつつ、多くの選手にとって共通の目標設定が可能になり、継続的かつ実態が伴った活動が可能になります。

今年も若い日本人選手たちのチャレンジに注目していきたいと思います。

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