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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
今年で104回目の開催を迎えた「ツール・ド・フランス」を観ていて改めてその偉大さを実感しました。
2007年からツールの総合ディレクターを務めるクリスチャン・プリュドム氏は、「ツールのジェネラルディレクターの仕事は毎日が超級山岳みたいなものだ。プレッシャーはとてつもなく大きい。」と大会期間中のインタビューで語っていましたが、本当にその通りなのだと思います。
この仕事を10年以上勤めるにはとてつもない精神力を必要とするはずです。
ちなみにプリュドム氏は1960年パリ生まれなので今年で57歳。ツールのジェネラルディレクターの職に就いたのは47歳の時でした。
また、参考までに、これまでのツールの歴代ディレクターを確認してみると、
1903年~1935年(33年間)=Henri Desgrange
1936年~1961年(26年間)=Jacques Goddet
1962年~1986年(17年間)=Jacques Goddet and Félix Lévitan
1987年(1年間)=Jean-François Naquet-Radiguet
1988年(1年間)=Xavier Louy
1989年~-2006年(18年間)=Jean-Marie Leblanc(前職はプロ選手⇒ジャーナリスト)
2007年~現在(11年間)=Christian Prudhomme(前職はテレビジャーナリスト)
という様になっています。
意外にも、一人のディレクターの任期はとても長い傾向にありますね。
最近、がんばり続けることについてよく考えさせられます。
私自身は、元々、自転車ロードレースの選手として15年間活動し、その後、チームの監督を12年間務め、お恥ずかしながらこれまでの人生で「正社員として会社勤め」をしたことは一度もありませんでした。
現在もそうですか、今まで経験したなかで一つの契約の最長期間は1年間で、多くは単発の仕事の連続となっています。
その結果、様々な場所でいろいろな経験を積むことができ、「どこでも行きていける強さ」を身につけられたのは良かった点かな?と思うことはたまにありますが、それでも、自分に価値が無くなれば、1年以内に収入がゼロになるのがいまの自分が置かれた環境なのだと痛感しています。
そんな環境で生きてきたので、正直、自分の仕事に対する感覚は完全に麻痺しているのかなとも感じることがあります。
結局、根底にあるのは使命感や意地なのかもしれません(うまく説明はできませんが...)。
時が経ち、変わらず未だに無謀なチャレンジの中に身を置いている自分自身がいるわけですが、現在は年齢的にも「自分だけの問題ではない」立場へと変化してきており、自分と「周囲」が継続的にがんばり続けることのできる環境の構築について考えさせられることが多々あります。
責任感と使命感があり、がんばりたいと願っているひとほど、突然バーンアウトと見舞われてしまうものです...。
本当は素晴らしいなにかのために戦っているはずなのに、一生懸命なひとほどリスクに晒されてしまう現実は本当に悲しすぎます。
がんばることと、がんばり続けることは、似ているようで大きな違いがあります。
がんばり続けられる環境の構築こそが、本来、目指すべき形なのでしょう。