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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
最近、「働き方改革」についての様々な報道を目にする機会が増えています。
直近では、「働き方改革」を進めることで、「大幅なコストの増大」に直面する企業が決して少なくないという記事を読みました。
私の様に長いこと「会社勤め」を経験せず、どこにいても仕事ができる環境で生きてきた人間にとっては、「労働時間」について考えるよりも先に、毎日意味もなく無条件に決まった時間に会社へ「通勤」することに対してのメリットを見出すことが最大の「課題」となっています。
通勤に要する時間と労力というのは、一人一人の人間にとって決して小さくないはずです(=労働時間以上に大きな無駄とコストが発生している)。
もちろん、顔を直接合わせて話すことにより生み出されるメリットは多々ありますので、まったく集まらないというのはまだちょっと無理があるとは思っていますが、一方で、現在は様々な便利なサービスが世の中に存在しているので、それらを普通につかえば、必要な時に集まって話しさえすれば、効果的に仕事を進めていくことは十分に可能です。
「無条件にただ出勤する」ということは、一人だと怠けてしまって自己管理ができない人間が、「安心」のために選択する非常に無駄な制度だと強く感じます。
恐らく、子供のころから規則的に学校へ通い、ルールに従いながらそれを守ることに価値を置いた教育を受けてきた人間が、急に時間的自由を与えられて「自己責任」の上で仕事をしろ(成果をあげろ)と言われても、「今さらそんなこと言われてもどうして良いのかわからない」という状況に陥ってしまうのが現実なのだと感じます。
自己管理ができない人間の制度に、ある程度自己管理ができる人間が巻き込まれているということが最も大きな問題であり、「働き方改革」で議論されている「労働時間の制限」というのは、問題の本質がすり替えられてしまっているように思います。
この国の豊かさを維持するためには、結局のところ、他の国と「労働力とその質(特に日本には資源がないので)」を争わなければならず、ただ闇雲に労働時間を短くしても、その結果、国自体がジリ貧になってしまうのが関の山でしょう。
働きたい人間が、前向きに気持ちよくたくさん働ける制度こそが、「働き方改革」が目指すべき方向性だと強く感じます。