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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
2016年は 『予想外(大衆的にみて)』 の出来事が多く起こった年でした。
その中でも象徴的だったのが、やはり 『イギリスのEU離脱』 と 『アメリカのトランプ新大統領の誕生』 であることは説明するまでもありません。
どちらも方向性としては 『反グローバル主義』 が 『ポピュリズム』 を煽る手法で成功を収める(選挙に勝つという意味で)形となっており、イギリスとアメリカというアングロサクソン系を代表する大国が、大枠でみると 『保護主義』 へと舵を切ったことになります。
もちろん、どちらの選挙もある意味で接戦だったので、国全体の意思と言い切れる状況ではありませんが、それでも歴史に残るようなとても大きな出来着であったことは間違いありません。
『イギリスのEU離脱』 と 『トランプ大統領誕生』 が正解だったのかどうかについてはまだしばらく答えはでないでしょうが、どちらにしてもこの先ある程度の期間は 『保護主義』 が世界の大きな流れとなっていくのでしょう。
そんな中、自転車ロードレース界に於いても 『保護主義的』 な声が伝統的なチームのマネージャーなどからチラホラと聞こえてきたりもしています。
ここ数年、UCIのグローバル戦略やそれに伴う各種改革、更にトップチームが中心となって設立した 『Velon(自転車ロードレース界の新たなビジネスモデルの構築を目指す企業)』 の誕生など、自転車ロードレース界全体の流れは試行錯誤を繰り返しながらも前を向いたものが多かったといえます。
しかし、ロシアの富豪 『ティンコフ氏』 がロードレース界からの撤退を決めた時に残した捨て台詞(古い考えを持った人間が多すぎるというような内容)が象徴しているように、やはり長い歴史を持つヨーロッパの自転車ロードレース界には根本的な部分にはある種の 『保護主義』 がまだまだ多く残っているといえます。
現在、UCI内部でもフランス勢の力が増大しているというような噂もあり、世の中全体の流れに乗るかのように、自転車ロードレース界も反グローバル主義が台頭しながら、ヨーロッパ回帰となるドメスティックな動きが加速する兆しをみせています。
2017年は引き続き大きな変化に晒される年となっていきそうな感じです。