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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
明日の夜は 『クリスマス・イブ』 です。
私が子供の頃の 『クリスマス・イブ』 というのは、自分的にも世の中的にも本当に一大イベントであり、なんというか、世の中全体が浮かれていた印象がありました。
最近は、イルミネーションに関しては昔よりも圧倒的な進化を感じますが、一方で、『クリスマス・イブ』 というものを利用した 『ビジネス=経済活動』 は、昔とは比べ物にならないくらいに低下しているといえます。
むしろ、ここ数年は 『ハロウィン』 の方が盛り上がっている様な気がします。
ただ、『クリスマス・イブ』 にしても、『ハロウィン』 にしても、大半の日本人にとっては、本質からは大きく乖離した 『みんなでお金をつかって騒いで盛り上がるための口実』 として使われてしまっており、本場の人たちからみれば相応の違和感を感じる部分が多々あることでしょう。
それでも、『資本主義社会』 に於いては、かなりの割合の人間が一斉に消費を行うイベントの存在は非常に重要な要素であり、これらによって経済が健全にまわっていくきっかけが生まれます。
時代の変化と共に、人々が興味を持ち消費を行うための 『口実』 は移り変わっていきます。
しかし、本質的な 『魅力』 の部分については、どの 『口実』 にも一定の共通点が存在しているのだと思います。
スポーツの世界にずっといた人間としては若干悲しいことではありますが、大半の人たちにとっては、情熱を傾ける対象物が、『本物』 であるか、『バーチャル』 であるかはさほど重要なことではありません。
むしろ、いくら 『本物』 であったとしても、わかりづらく、扱いづらいものに対しては、一定の距離を置いてしまう傾向が生まれるのは否定できないでしょう。
日本人にとっての 『クリスマス・イブ』 と 『ハロウィン』 を、『本物』 or 『偽物』 で判定するならば、残念ながら後者に当たるというのが一般的な見解となります。
しかし、『経済活動』 という切り口でみた場合は、かなりの威力を持った 『本物の存在』 であることは間違いありません。
人々に興味を持たれず、効果的な経済活動が生まれない環境下で、『スポーツとしての本物』 に固執している人々を、『自己満足』 と揶揄する人がいます。
悔しいですが、ある意味で本質を突いているといえます。
結局のところ、対象となるスポーツがどこを目指しているのかによって、正解は大きく変化してくるのだと感じます。
『クリスマス・イブは日本にはいらない』
『いや、日本でもクリスマス・イブは一定の効果を生み出している』
そのスポーツの上層部に、前者の価値観を持った人間が多くいるのか、それとも後者の価値観を持った人間が多くいるのかで、そのスポーツの未来は大きく変化していくことになるのでしょう。