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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
実はいま飯野選手と共に一宮にいます。
宇都宮への帰路の途中、夜23時頃に入ったサービスエリア内で飯野選手が突然めまいに襲われ、意識が遠のいて倒れる寸前の状態となりました。
あくびを連発し耳鳴りなどの症状を訴えたので、至急救急車を呼び、一宮市内の救急病院へ直行。
落車の際にヘルメットが割れていたため、頭部CT検査及び打撲箇所のレントゲン撮影を行いました。
検査の結果、擦過傷と打撲以外は異常はないとのことで一安心。
恐らく低血糖状態+全身に負った無数のキズによる影響だったのかもしれません。
今夜は尾張一宮駅周辺で1泊し、明日新幹線で宇都宮へ戻ることになります。
但し、改めて飯野選手の全身の怪我をみると、擦過傷だけでもかなりの大怪我であることを実感します。
我々、自転車ロードレース関係者というのは、時に“痛み”や“苦しみ”に対して鈍感になってしまうことがあります。
今日のレースで飯野選手が落車事故のあとに再び立ち上がって走ったことは、“当たり前”ではないということを改めて認識しなければなりません。
重度の骨折事故から何度も蘇った増田選手、昨シーズンの夏に上唇が貫通する怪我から数週間でレース復帰した中村選手、そして現在大腿骨骨折から執念で復帰を目指している鈴木真理選手…
レースでの勝負以前に、彼らが“危険”と“痛み”を恐れない現代の“侍”だということを改めて思い知らされます。
文字通り命をかけて戦っているのです。
先ほど、CTスキャンの結果を待つ最中、眠りについた飯野選手の横である種の恐怖感を覚えました。
その後、先生から異常なしとの言葉を聞いたとき、少しだけ涙が出そうになりました。
現在、他のメンバーはまだ陸路で宇都宮を目指しています。
宇都宮到着予定時間は午前4時。
『これが自転車ロードレースというスポーツなんだ』と言ってしまえばそれまでですが、やはり受け入れるべきことと、改善を目指すべきことは分けて考えなければなりません。
飯野選手が6日後に開催される次戦『JBCF群馬CSCロードレース』に出場できるかは現時点では不明ですが、まずは飯野選手の怪我が大事に至らなかったことに心から感謝したいと思います。