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このブログについて

プロフィール写真【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。

栗村修の日常 2013年03月24日

パワーメーター

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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宇都宮ブリッツェンは今季から 『Pioneer』 製のパワーメーターをチームで正式に採用しております。

パワーメーターとは走行時の出力をリアルタイムに表示してくれるメーターで、スピードメーターや心拍計などに代わり、現在主流となっているトレーニング管理用機器です。

パワーメーターの利点というのは、スピードメーターや心拍計などに比べて有益な情報を安定的に提供してくれるという点にあります。

スピードや心拍数というのは様々な外的要因によってその数値自体が大きく変動してしまいますが、出力というのは外的要因や、エンジンである人間の体調&精神状態などによって数値がブレてしまうことが殆どありません。

ですから、目標とするレース(選手)の出力レベル(数値x時間)を手に入れることで、いま現在の自分たちのレベルを客観的に知ることができ、またその目標に向かって具体的な数値目標を設定することが可能となるのです。

この様に書くと非常に有効なトレーニング用機器だと感じてしまいますが、実際にパワーメーターを使って有効なトレーニングを実施するには様々なノウハウが必要となってきます。

宇都宮ブリッツェンの様に経験豊かなベテラン選手が揃っているチーム環境では、安易にパワーメーターを導入したトレーニングを行うよりも、経験をベースとしたトレーニングを採用した方がずっと効果的なチームトレーニングを行うことが可能になります。

実際、ヨーロッパの強豪チームのなかにもパワーメーターを採用していないチームがいくつかあります。

しかし、時代はパワーメーターを使用したトレーニングへと大きく傾いており、レース数の少ない日本に於いては無視することのできない機器でもあるのです。

今季、宇都宮ブリッツェンに加入した鈴木真理選手は、チーム内で唯一本格的なパワーメーターでのトレーニングを経験している選手です。

鈴木真理選手にパワーメーターでのトレーニングについて尋ねてみると 『本当の意味でこのトレーニングの効果を身につけるには最低でも1年間専門家の指導を受けながら真剣にメニューをこなさなければならない』 という答えがかえってきました。

自転車ロードレースのトレーニングを行うには最適な宇都宮という地に、これまで宇都宮ブリッツェンに所属した多くの選手たちが残してきたトレーニングノウハウがプラスされ、更にパワーメーターを使った本当の意味での有効な強化システムが積み上げられれば、日本国内の活動のみでもある程度のレベルまで選手の実力を引き上げることが可能となるはずです。

強化システムとは、誰か一人の頭の中だけに存在している状態では意味がありません。

一チーム、更には日本のレース界全体にノウハウが蓄積していくシステムを構築する必要があります。

宇都宮ブリッツェンというチームで取り組んでいるのは、この強化システムの構築なのです。

レースに出場できなくても、メンバーが大きく入れ替わっても、そして監督が解任されたとしても、安定的に強い選手を生み出せるチームこそが理想的な姿だと考えています。

『Pioneer』 のパワーメーターを本当の意味で使いこなしていくためにも、鈴木真理選手の経験を生かしながら次世代の強化システム構築に力を入れていきます。

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