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【栗村修】
一般財団法人日本自転車普及協会
1971年神奈川県生まれ
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引きずり込む。現在は国内最大規模のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の組織委員会委員長としてレース運営の仕事に就いている。
先週末からヨーロッパのレースシーンが本格的に動き出しました
近年は、オセアニアや中東で早い時期からレースがはじまるので、2月の欧州「オープン戦」時には、既にかなりの仕上がりをみせている選手が多数います。
しかし、やはりベルギーのレースというのは、ただコンディションが良いだけでは戦えません
まったくもって格が違います
セミクラシックと言えども、その過酷さや、レースの雰囲気はマニアをググッと引き込む魅力があるのです。
先週末に行われた、ヘットフォルク(ヘットニューズブラッド)や、クールネ〜ブリュッセル〜クールネをライブで観戦しましたが、早くも4月のロンド(ツール・デ・フランドル=クラシックの王様)へのストーリーがはじまっているんだなあ!ということを実感しました。
ベルギーチャンピオンジャージを着たボーネンが、タイエンベルグの石畳激坂でアタックを仕掛けたあと、するするとテンションを下げ、その後、計ったようにパンクして戦線離脱。
逆に昨年のパリ〜ルーベ(クラシックの女王)で、終盤の石畳セクターで落車して大迷惑だったフレチャが、石畳でジルベールを置き去りにして独走で優勝を飾り、レース後に海坊主の様なブレイルスフォードと抱擁している姿を見て、早くパリ〜ルーベが見たい!と感じてしまいました。
ちなみに、ブレイルスフォードはやたらと長い時間カメラの前でフレチャへの抱擁を続け、若干フレチャが「むつごろうさんに愛撫されて手をつっぱる子犬」の様に見えてしまいました…
翌日のクールネは、気温4度で強風&土砂降りの雨で、ギャンブルアタックを仕掛けた3名が逃げ切り、中堅のトラクセルが大金星を挙げるという、これまたマニア向けのレース展開となりました
王様ボーネンは早々にリタイア、逆に調子が凄く良いのか?と勘ぐったりします。
このレースで感動したのが、ロードレース界の「シュワルツネッガー」こと、フースホフトの走り
レース終盤に、先頭の3名を追ってチームメイトのハントと、HTCのルールストンと共に追撃を開始
25秒差まで迫るも、ハントが寒さのために体が動かなくなり脱落、ハントはすぐにシマノのオフィシャルサポートカーを止めて助手席に乗り込んでしまいました。恐らく体の芯まで冷え切ってしまったのでしょう
その後、今度はフースホフトまでが遅れだし、チームカーから食べ物をもらってなんとか走り続けます
既に優勝が遠ざかっているなかでのハンガーノックならば、フースホフトクラスの選手であれば通常はリタイヤするのですが、彼はそのあともフラフラになりながら走り続けてゴールしたのです。
この走りをベルギーのコメンテーターが絶賛(さすがベルギー!ドMです)
このレースを走るトッププロの走りは、まるで初心者の様に見えました。
たぶん、寒さで上半身が硬くなり、また握力も異常に低下していてブレーキをかける仕草もカクカクしてしまったのでしょう。
ゴール地点には、ズタボロになった選手がバラバラに戻ってきて、優勝したトラクセルも震えながらインタビューに応えていました。
この2日間で、監督としてではなくて、ロードレースマニア(ベルギー風味)としてのスイッチがオンになったことは言うまでもありません
今回のブログは完全にマニア向けな内容となったことをお許し下さい