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【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第15ステージ】天下無敵。最難関ステージを射止め、ポガチャルのピンクはさらに色濃く。「今の自分に満足している。タイム差も、チームも、すべてにおいて」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかポガチャルに敗れるも山地での実力を示したキンタナ
さらには残り17km、ナイロ・キンタナが追走に転じた。チームメイト2人とともに逃げに潜り込み、静かに、その時を待っていた2014年ジロ総合覇者が、ついに動いたのだ。数々の不遇が重なり、もはやグランツール表彰台常連だったかつての勢いこそないものの、コロンビアの高地で生まれ育ったピュアクライマーの攻撃は、紛れもなく驚異になり得た。
もちろんUAEのチームメイトたちは、エースを信じ続けた。険しい上りの始まりとともに、いつもどおりにフェリックス・グロスシャートナーが最前列で汗を流した。残り18km前後からは、「まったく心配なんてしていなかった」と笑い飛ばしたラファウ・マイカが、発射台作業に取り掛かった。あらん限りのスピードを振り絞り、すでに20人ほどにまで小さくなっていたメイン集団を長く細く引き伸ばし……ある瞬間でふと脇にそれた。残り15kmのアーチの手前だった。同時にポガチャルが、前方へとしなやかに躍り出た!
ただ一度の加速で、すべては決した。総合3位ダニエル・マルティネスだけは、とっさに後を追いかけようとした。しかし総合2位ゲラント・トーマスがピクリとも反応せず、淡々とリズムを守り続け、総合4位ベン・オコーナーがアシストに牽引役を託したのを知るや、マルティネスもおとなしく引き下がった。「元」総合ライバルたちは、もはやポガチャルに張り合おうとはしなかった。誰もが残された表彰台の場所を確保するための、小さな戦いに集中した。
「アタックは予想していた。だってUAEは1日中ハードに牽引を続けていたからね。彼らは正々堂々ステージを獲りに行ったんだ。ポグが飛び出したとき、一緒についていきたいとも思ったけど、実際にそうしていたらあっけなく後方へ吹き飛ばされていただろう」(トーマス)
走行距離はすでに200kmを超えていた。高みへと大きく羽ばたいたポガチャルの、勢いはますます増していった。ラスト9kmでシュタインハウザーを捕らえた。1級山岳を先頭でこなし、短いダウンヒルへと高速で突っ込んだキンタナをも、ラスト2kmでついに前から引きずり下ろした。10年前のマリア・ローザを、2024年のマリア・ローザは、一瞥もせずに抜き去った。
「キンタナと(クリス)フルームが互いに争っていた時代、彼がフィニッシュの間近まできてからようやくアタックに転じる姿勢に、僕はいつも腹を立てていたものさ。だってキンタナは決して遠くからトライしなかったから。でも今日の彼は、本当に素晴らしい走りを見せた」(ポガチャル)
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