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【Cycle*2024 ロンド・ファン・フラーンデレン:レビュー】20%超の激勾配コッペンベルグは今年もやはり伝説的、虹を纏うファンデルプールは混沌を切り抜ける術を持っていた
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかJ SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTubeチャンネル
【ハイライト】ロンド・ファン・フラーンデレン|Cycle*2024
レースが進むにつれ天候は崩れていった
ただし、あらゆる攻撃は、ことごとくアルペシンが潰して回った。アシスト勢が動くこともあれば、後のチャンピオン自らが穴を埋めたこともあった。特にオウデ・クワレモントの2度目の通過時には、3度目のアタックを試みたピーダスンにジャンニ・フェルミールスが執拗に張り付いた上に、最後はファンデルプールが加速一発でとどめを刺した。
「雨が降り始めた瞬間、コッペンベルグが『カオス』になるだろうと理解したんだ。過去の映像で見たことがあった。だから他のチームが僕らに対して攻撃を始めた時、僕はチームに頼んだ。コッペンベルグまでなんとか制御可能な状況を保ってほしい、そこから先は僕一人でやれるから、と」(ファンデルプール)
アルペシンの厳しい監視体制はぎりぎりまで続けられた。かろうじてイバン・ガルシアだけが、ひとり抜け出すことに成功すると、20秒ほどのリードでコッペンベルグへと上り始めた。
このロンド屈指の激坂をよじ登っている最中に、ガルシアは無念にも先頭を放棄することになる。なにより自転車から飛び下りるクレイジーな選択をせざるをえなかった。泥と水滴に覆われたコッペンベルグの石畳の上では、前進することはおろか、ただバイクを垂直に保っていることすら難しく、自転車をわざわざ下りてでも後輪の空気圧を下げようと考えたのだという。非情にも、ガルシアは、あっという間に後方の追っ手に捕らえられてしまう。……その上、20%超の激勾配では、改めて自転車を漕ぎ出すことさえ不可能だった。
コッペンベルグには数々の逸話が残る。かつてこの地で落車した選手を、レースカーが避けきれずに轢き、以来15年間もロンドのコースに組み込まれなかったことがある。また2006年大会、自転車を下りずに坂道を登りきれたのは、たったの8人しかいなかったとも言われている。おかげで翌年は修復のためコースから外された。今年もやはり、コッペンベルグは伝説的だった。プロトンの大部分が途中で地面に足を着いた。そのまま自転車を担いで脚で登る選手もいれば、観客におしりを押されてなんとか再出発する選手もいた。まさにファンデルプールの予言通り、「カオス」だった。
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