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【Cycle*2024 ツアー・ダウンアンダー:レビュー】たくさんの「初物」でにぎわった激闘はスティーブン・ウィリアムズ総合優勝
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかフィニッシュラインでデルトロは10秒のボーナスを得たが、ウィリアムズも実は、3位で4秒を回収している。「機会さえあればスプリントは必ず打つ」と堂々宣言するパンチャーは、このタイムを元手に、3日後の第5ステージで総合首位へと躍り出ることになる。
ウィランガ・ヒルを制したのはオスカー・オンリー(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)
ウィランガ・ヒルが4年ぶりに帰ってきた土曜日。リッチー・ポートと相思相愛だった急坂は、21歳のオスカー・オンリーに微笑んだ。
今シーズン最初の頂上フィニッシュにして、初の総合争いに向けて、デルトロのUAEチームエミレーツとナルバエスのイネオス・グレナディアーズが激しく隊列を競わせた。ウィリアムズのイスラエル・プレミアテックも、最前列でサポート体制を敷いた。最も積極策に出たのはオーストラリア唯一のワールドチーム、ジェイコ・アルウラーだった。クリス・ハーパーが坂道で幾度も囮アタックを繰り出し、昨大会のマウント・ロフティ覇者サイモン・イェーツは、ラスト1kmを切るといよいよ本格的な加速に転じた。31歳の元ブエルタ総合覇者の攻撃に、11歳年下のデルトロがたまらず遅れた。
同じく1992年生まれのジュリアン・アラフィリップも、一時は主役の座に躍り出た。コロナ禍のまっただ中に世界選2連覇を果たし、一世を風靡したパンチャーは、2度、ダンシングポジションで加速した。ところが10年ぶりのダウンアンダーで……どうも脚の冴えはいまいち。そんなアラフィリップがサドルに座った瞬間を、オンリーは突いた。
登りの強さはお墨付き。ディヴェロップメントチーム所属時代の2022年には、CROレースの山頂フィニッシュ2区間で、あのヨナス・ヴィンゲゴーと一騎打ちを繰り広げたこともある。5年契約で昨季プロ入りしたオンリーにとって、本格開花のタイミングが、きっとこの日だった。ウィリアムズとナルバエスを背後に従え、ウィランガの王となった。正真正銘、プロ初勝利!
「とても信じられない。調子良く大会に乗り込めたことは分かっていたし、上りステージでなにか出来たらと思っていたけど、彼等のような選手から勝利を奪えるなんて考えてもいなかった。今大会のいわば象徴のような登りに、僕の名前を刻むことが出来て、すごくスペシャルだ」(オンリー)
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