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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2023 レースレポート:第5ステージ】カーデン・グローブスがステージ2連勝 「似ているようで実際はまったく違った」2つのステージを攻略
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介「この“6秒”がすぐには意味をなさないかもしれない。でも、ここぞという場面で大事なアドバンテージになる可能性は大いにある。そうなることを願ってスプリントにトライしたんだ」(レムコ・エヴェネプール)
最終盤の平坦区間は、アルペシン・ドゥクーニンクやスーダル・クイックステップなどが前を固めてスプリント態勢を整えていく。残り3kmのラウンドアバウトでは集団前方の選手たちがクラッシュし、ステージ優勝候補のひとりと目されていたミラン・メンテン(ロット・デスティニー)らが巻き込まれた。これをきっかけに縦長になったプロトンは、前方に位置する選手たちを中心にスプリントモードへと突入する。
最終局面へ良い状況を作ったのは、やはりアルペシン・ドゥクーニンク。残り1kmを切ってからは他チームに先頭を譲らない。あとは飛び出すだけとなったグローブスは、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)やドリス・ファンヘステル(トタルエネルジー)らの追い上げをかわして一番にフィニッシュラインを通過。2日続けてのステージ優勝は、ポイント賞トップの証であるマイヨ・ベルデを着てのものとなった。
レース後に仲間と喜び合うグローブス
「グリーンジャージを着て勝つのは、また違った気分だね。スペシャルだよ。クラッシュの影響で残り2.5kmまでにチームメート3人を失ってしまったのだけど、それでもまだリードアウトマンを残せていたのは幸運だった。パーフェクトに役目を果たしてくれた仲間のためにも、どうしても勝ちたかったんだ」(グローブス)
この勝利で、ポイント賞争いでは完全な独走態勢に。2位以下に60点以上の差をつけている。前日には特に意識していないと語ったマイヨ・ベルデだが、ジャージについてはこの先どう捉えていくつもりだろうか。
「まぁ、ステージ優勝狙いは変わらないと思うのだけど、このジャージも可能なら着続けたいよね。今日も中間スプリントは当初予定していなかったけど、調子が良くてチームメートとの連携もうまくいっていたからチャレンジしてみたんだ。レムコが1位通過したがっていたのは横にいて分かっていたので、あえて動きを合わせてみたところもある。あの状況では2位通過でも満足できるし、ジャージについては様子を見ていくことにするよ」(グローブス)
レースリーダーを示すマイヨ・ロホは、引き続きレムコが着用する。ボーナスタイムが生きて、個人総合2位のエンリク・マス(モビスター チーム)とはタイム差11秒となった。
ここ2日間をうまくやり過ごした総合系ライダーたちは、次の第6ステージで再び“出番”を迎える。ブエルタではおなじみとなったハバランブレ天文台を目指す、今大会2回目の山頂フィニッシュ。行程183.5kmの最後10.9kmは、15%の急坂が続く険しきクライミング。ほんの一瞬で大差がつくこともあるこの上りで、今年はどんな展開が待っているだろうか。極端に言ってしまえば、何もせずともマイヨ・ロホ争いに変化が生じる区間なのである。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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